2003 Fiscal Year Annual Research Report
CR16によるN-WASPを介した神経円錐とシナプス機能の制御機構の解明
Project/Area Number |
01J06368
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
坂西 義史 東京大学, 大学院・医学系研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | アクチン細胞骨格 / 遺伝子ノックアウトマウス / 不妊 |
Research Abstract |
前の報告時までに、CR16遺伝子ヘテロノックアウトマウスを作製しており、それらを用いたCR16遺伝子発現のプロファイリング及びホモ遺伝子ノックアウトマウスの解析を行った。また、ノックアウトマウスの臓器ライセート等を用いたin vitro実験を行った。 ヘテロ遺伝子ノックアウトマウスのLacZ活性解析により、CR16遺伝子が海馬錐体・顆粒細胞のみならず精巣においても発現していることが判明し、免疫学的手法によってCR16遺伝子がセルトリ細胞で発現し、セルトリ細胞の細胞質に存在していることを明らかにした。また、ホモ遺伝子ノックアウトマウスを得てその表現型の解析を行った結果、ホモ遺伝子ノックアウトマウスでは、精子形成不全による雄性不稔を示すことが明らかになった。また、ホモ遺伝子ノックアウトマウスでは、アクチン細胞骨格制御異常によるセルトリ細胞-精子細胞間ジャンクションの形成不全が生じていることを明らかにし、それが精子形成不全の原因であると考えられた。さらに、分子生物学的なメカニズムの解析にも取り組み、ホモ遺伝子ノックアウトマウスでは、細胞間接着部位にN-WASPタンパク質が局在しないことを明らかにし、N-WASPタンパク質の正しい局在にCR16タンパク質が必要であることを明らかにした。 一方、海馬におけるCR16タンパク質の機能を明らかにする目的で、CR16遺伝子ノックアウトマウスの行動解析(Passive Avoidance Test)を行ったが、野生型との有意な差は認められなかった。現在までには、CR16タンパク質の海馬における機能について明らかにはできなかったが、充分にバッククロスを行った遺伝子ノックアウトマウスを作製したのち、詳細な解析を行いたい。 以上、これまでの研究成果について博士課程の学位論文としてまとめ発表した。
|