2002 Fiscal Year Annual Research Report
テロメア反復配列を特異的に切断する酵素の機能解析とその利用
Project/Area Number |
01J06376
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
安西 智宏 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | レトロトランスポゾン / テロメア / エンドヌクレアーゼ / カイコ / TRAS / 昆虫 / 寿命 / 分子生物学 |
Research Abstract |
カイコのテロメアは、テロメア反復配列である(TTAGG)nの中に多数のnon-LTR型レトロトランスポゾンが挿入されているという特殊な構造をしている。TRASに代表されるこれらのレトロトランスポゾンは、挿入されるDNA配列(テロメア反復配列)にニックを入れるためのエンドヌクレアーゼをコードしている。私は昨年度までにTRAS1のエンドヌクレアーゼ(TRAS1 EN)を昆虫細胞内で発現することによって、In vivoでテロメアの短小化を誘導する系を開発した。本年度は主にテロメアの短小化が、昆虫細胞の表現型に及ぼす影響を調べた。TRAS1 ENを発現した昆虫細胞は、増殖率が顕著に低下するものの、アポトーシスといったテロメア短小化において一般的に見られる表現型が現れなかった。これは、TRAS1 ENがテロメアだけでなく、染色体中のさまざまな領域も切断しているため、細胞がネクローシスを起こしている可能性を示唆する。今後、TRAS1 ENをテロメア切断酵素として応用するには、テロメア配列への特異性を高める必要があると考えられ、テロメア結合タンパク質のDNA binding domainとの共発現を行なうなどのアプローチを現在、行なっている。 また今年度、TRAS1 ENの結晶構造を解析する研究にも参画した。その結果、ENの内部にテロメアを特異的に認識するのに必須となる全く新規のモチーフを発見し、この領域を欠損したタンパク質に関する詳細な機能解析を行なった。この結果は現在、投稿準備中である。
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