2002 Fiscal Year Annual Research Report
ルイス酸-ルイス塩基複合触媒による不斉ライセルト型反応の開発と天然物合成への応用
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01J06390
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
船橋 憲 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 多点認識 / 有機亜鉛 / 不斉四置換炭素 / アミノジオール / ガラクトース / ヒドロキシプロリン / 触媒的不斉合成 / ライセルト型反応 |
Research Abstract |
多点認識不斉触媒による有機亜鉛のケトン類への付加反応の開発 昨年度、トリメチルシリルシアニドを求核剤とする四置換炭素構築型の触媒的不斉ライセルト型反応を開発し、報告した。本年度はさらに求核剤の適用範囲を拡張して、有機亜鉛を用いることを計画した。 ところで、有機亜鉛のアルデヒドへの触媒的不斉付加反応による不斉2級アルコールの合成法は数多く開発されている。一方ケトンへの付加は、不斉3級アルコールを生成物として与える付加価値の高い反応であるにも関わらず、低選択性・低反応性の問題から極めて例が少ない。多点認識触媒による反応制御を上記の問題解決のための基本概念に据え、有機亜鉛を用いた不斉四置換炭素構築法として、最初に本反応の開発を試みることとした。 ガラクトースより誘導したアミノジオールを触媒として、Ph_2Znの付加反応を検討したところ、収率42%、57%eeで不斉四置換炭素を有する生成物が得られた。従来のアミノアルコール型不斉触媒の結果から予想される絶対配置とは逆の異性体が得られていることなどから、両方のアルコキシドが関与して反応が制御されていると考えられる。 さらにα-ケトエステルへの(CH_3)_2Znの付加反応において、ヒドロキシプロリンより短行程で合成される誘導体のアミノジオールを用いたときに、収率70%、91%eeで生成物を得た。ジアステレオマーなどを触媒としたときの結果との比較から、触媒構造において、ジオールが互いにcisに配置されていることが不斉誘起に重要であり、本反応においても多点制御による遷移状態を経て反応が進行していることが示唆された。
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Research Products
(1 results)