2002 Fiscal Year Annual Research Report
有機アニオン輸送担体の発現調節機構及び遺伝的多型の解析
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01J06392
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高田 龍平 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 有機アニオン / トランスポーター / 発現調節 |
Research Abstract |
主要な解毒臓器の一つである肝臓には、代謝酵素や抱合酵素、トランスポーターが数多く存在し、内因性および外因性物質の解毒に重要な役割を果たしている。それらのうち、肝アピカル側膜上に存在する種々のABCトランスポーターは、さまざまな物質の細胞内から胆汁中への排泄を担っており、突然変異によるアピカル側膜へのソーティングの異常や輸送能の消失による機能不全は胆汁うっ滞などの病態を引き起こすことが知られている。しかし、これらトランスポーターの細胞膜へのソーティング機構についての知見はほとんどないのが現状である。平成14年度には、これらABCトランスポーターの一つであるBCRP (breast cancer resistance protein)/ABCG2のアピカル側膜上への選択的ソーティングの機構に焦点をあて、解析を行った。まず、human BCRPのcDNA発現ベクターを構築し、極性細胞であるLLC-PK1細胞、MDCK細胞へ遺伝子導入して発現系を作成した。その結果、LLC-PK1細胞においては生理的な配向性であるアピカル側膜への発現が見られたのに対し、MDCK細胞では細胞膜上全体への非選択的な局在が観察された。ウェスタンブロットの結果からは、両細胞に発現するBCRPのジスルフィド結合の有無や糖鎖の長さに違いは見い出されなかったため、BCRP蛋白自体でなくその他の何らかの因子による制御の差によって細胞間のソーティングの違いが生じている可能性が考えられる。また、BCRPの細胞内ドメインのペプチド配列の一部を欠如した種々のミュータントBCRPを用いた検討から、BCRPのアピカル側膜上への移行に必要な配列の存在が示唆された。今後は、これらの知見を元に、さらに解析を進めていく予定である。
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