2002 Fiscal Year Annual Research Report
イネにおける冠水抵抗性の分子機構解明とその応用研究
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01J06399
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
辻 寛之 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | イネ / 冠水 / ヒストン脱アセチル化酵素 |
Research Abstract |
植物は冠水状態を生き抜くために形態、代謝などを変化させ、これらの変化の多くは遺伝子発現の変化によってもたらされると考えられている。したがって遺伝子発現の変化を上流で調節する因子を特定し改変すれば、より冠水抵抗性の高い作物の分子育種につながると考えられる。DNAは核内でヒストンに巻き付いて存在しており、このヒストンがどう修飾されるかが遺伝子発現の調節に関わっていることが近年明らかになりつつある。ヒストンの修飾にはアセチル化、メチル化、リン酸化、モノユビキチン化などが知られており、一般にヒストンがアセチル化されると遺伝子発現が活性化され、脱アセチル化されると遺伝子発現が抑制されるといわれている。ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)はヒストンの脱アセチル化を行う酵素であり、動物や酵母では遺伝子発現の抑制を通して寿命の延長など様々な働きをもっている。本研究ではイネからHDAC遺伝子を複数同定し、その発現を解析した。HDACは3つのファミリーに分けられ、イネゲノム中には少なくとも14個のHDACファミリー遺伝子、2個のSIR2ファミリー遺伝子、3個のHD2ファミリー遺伝子が存在していることがわかった。これらすべての遺伝子に対してその発現の器官特異性、低温、塩、乾燥、冠水に対する応答性を調べたところ、HDACファミリーに属するHDAC2とHDAC3のみが冠水を含む各種のストレスに対して発現誘導されることが明らかとなった。
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Research Products
(1 results)