2002 Fiscal Year Annual Research Report
細胞内情報伝達におけるレセプターミミック化合物の創製
Project/Area Number |
01J06406
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
間間 孝介 東北大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 細胞死 / ミトコンドリア |
Research Abstract |
受容体(レセプター)は細胞膜という特殊な環境を足場として種々の蛋白と相互作用し、細胞内情報伝達のスタート地点として働く。そこで、本研究では膜上、特に細胞死との関与が注目されているミトコンドリアの膜上で、蛋白と相互作用することで細胞死を制御する化合物の創製を目指す。また、未だ未解明な部分の多いミトコンドリア膜上での細胞死制御機構の解明も狙う。 まず前年度に引き続き、当研究室で開発されたビスインドリルピロール誘導体のミトコンドリア膜上でのターゲットを同定すべくフォトアフィニティーラベリングの条件検討を行った。この際、光標識化合物が蛋白を標識する前に、光で活性化を受けた空気中の酸素により母核構造が酸化を受けることが見い出された。この反応性は化合物の不安定性にもつながることから、母核構造の変換を行い改善を試みている最中である。 さらに本年度は交付申請書に記載したように、活性評価系の構築を目指し細胞培養系を立ち上げた。種々条件検討の結果、ヒト白血病細胞HL60において、過酸化水素により誘導される細胞死を化合物がどれだけ抑えるかを見ることでその細胞死抑制活性を評価することが可能となった。この評価系により、母核構造に含まれる2つのインドール環のうち1つをなくした誘導体も活性が維持されることをはじめとして、種々の構造活性相関の知見が得られた。 一方、フォトアフィニティーラベリングとは異なったアプローチでターゲット蛋白を同定することも試みた。化合物を担持したゲルを合成し、これを培養細胞から精製したミトコンドリア蛋白と混ぜ、ゲルに結合してくる蛋白を調べた。その結果、ターゲット候補と考えられる蛋白をいくつか得ることに成功した。現在ミトコンドリア蛋白の精製条件の検討を行い、さらにターゲット候補に絞り込みをかけている。
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