2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01J06416
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鏑木 洋介 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 有機合成化学 / 不斉合成 / 天然有機化合物 / 血しょう板凝集抑制 / 酵素 |
Research Abstract |
本年度は、まず昨年度までに合成法を確立したロイストロダクシン類の左右のユニットのカップリング反応について種々検討を行った。その結果、右ユニットの末端アルキン部分をアルキニル亜鉛へと変換した化合物を用いてカップリング反応を行うと、立体選択的にカップリング反応が進行することが明らかとなった。すなわち、これによりロイストロダクシン類のC11の立体化学を制御することが可能となった。 次に、下部のラクトン部分の構築を行った。C4,C5の立体化学の制御は、不斉補助基を有するホウ素エノラートを用いたアルドール反応を用いることにより制御した。C2-C3のcis-オレフィンの制御には、cis-選択的Honner-Emmons反応を用いた。最後に、テトライソプロポキシチタンを用いてラクトン化を行い、下部ラクトンの合成を完了した。 その後は、各種官能基の導入を検討した。まず、C25に位置する窒素原子はアジドとして導入した後に還元し、生じたアミンをアリルカルバメートとして保護した。C18の長鎖アシル基は、通常の方法で導入することができた。続いて、C8-C9を保護しているアセタール型保護基の除去を試みたが、これは予想以上に困難であることが判明した。すなわち、過酷な脱保護条件下において基質の分解が避けられず、望みの脱保護体を得ることができなかった。そこで、穏和な条件下で除去可能なパラ位にシリロキシ基を有する新規ベンジリデンアセタール型保護基を開発した。新規保護基を用いた場合は、望みの脱保護体を得ることができた。最後に、得られたジオールに対して、C8の水酸基をTMS基で保護した後にC9の水酸基に保護されたリン酸基を導入した。 以上、本年度はロイストロダクシン類のすべての立体化学を制御し、かつ全ての官能基を有する化合物の合成を完了した。
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