2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01J06493
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大崎 秀一 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | Hall項 / 2流体MHD / Beltrami条件 / 緩和状態 / シアー流 / スケール分離 / リアプノフ関数 / 特異摂動 |
Research Abstract |
理想MHD方程式に対してホール効果を「特異摂動」として付加した「二流体MHDモデル」を用いて,プラズマの平衡や安定性,波動に対するプラズマ流やミクロ(イオンスキン長)スケールの効果を理論的に解析した. 流れのあるプラズマをMHDモデルで記述すると,平衡を支配する偏微分方程式が流速に応じて楕円型と双曲型の間で変化することが知られている.これは衝撃波の発生を示唆するが,2次元(以上)では解の存在さえ不明である.非圧縮流を仮定すると,方程式は楕円型となるが特異点を含んでいる.これは,MHD理論が(ポロイダル断面で)磁場を横切る流れを許さないことに起因している.ホール効果は,この制限を取り除き,二流体MHDの平衡方程式は特異点を含まない連立楕円型方程式になることを示した.また,トーラス状の領域で二重Beltrami平衡解を数値計算して,その構造を明らかにした. 運動の保存量を用いた変分原理によって,流れのあるプラズマの安定十分条件を求めた.シアー流があるプラズマの線形安定性解析においては,生成作用素が非エルミートになるため,指数関数的な時間変動を仮定するノーマルモード解析の手法では安定性を完全に理解することはできない.それに代わるものとして,揺らぎの運動に関する保存量(リアプノフ関数に相当する)を用いて安定性を議論した.MHDモデルでは,この保存量と強圧条件を用いて,摂動のノルムの上限が与える条件を示した.この安定性の十分条件は,任意の形状とあらゆる不安定性を含む一般的条件である.しかし二流体MHDモデルでは,特異摂動の効果によって一般に強圧条件が成立しない.特別な二重Beltrami平衡に対してはエンストロフィーに相当する保存量が存在し,この強圧性によって安定性の十分条件を得た. アルフヴェン波のスペクトルがホール効果によって,どのように変化するかを調べた.磁化したプラズマ中を伝わる代表的な波であるアルフヴェン波は,一般に連続スペクトルをもち,その特異固有関数は2階常微分方程式の(フロベニウス型の)解として与えられる.ホール効果と音波のカップリングによってモード方程式に4階微分項が現れることが示した.この特異摂動項によって固有方程式は特異点をもたない4階の常微分方程式となり,スペクトルは連続スペクトルから点スペクトルへと変化する. 以上を論文にまとめ投稿した.
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Z.Yoshida, S.Ohsaki, A.Ito, S.M.Mahajan: "Stability of Beltrami Flows"Journal of Mathematical Physics. 44. 2168 (2003)
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[Publications] S.Ohsaki, Z.Yoshida: "Lyapunov function of relaxed states in two-fluid plasmas : Stability of double-Beltrami flows"Physics of Plasmas. 10. 3853 (2003)
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[Publications] S.Ohsaki, S.M.Mahajan: "Hall current and Alfven wave"Physics of Plasmas. 11. 898 (2004)