2002 Fiscal Year Annual Research Report
ホスファチジン酸特異的ホスホリパーゼA_1の生理機能の解析
Project/Area Number |
01J06512
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
園田 洋史 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | リゾホスファチジン酸 / ホスファチジン酸 / ホスホリパーゼA_1 / ホスホリパーゼD / ノックアウトマウス |
Research Abstract |
本酵素の培養細胞レベルでの解析を行った。内在的にPA-PLA1αを高発現している細胞株では、発現の低い細胞株に比べ、細胞、及び細胞上清に存在するLPA濃度が有意に高いことが分かった。これらの細胞を、内在性のホスホリパーゼD(PLD)を活性化するPMAで処理したところ、高発現細胞株では細胞、及び細胞上清においてLPAが有意に増加した。一方、発現の低い細胞株ではLPAの増加は僅かであった。このことから、内在性のPA-PLA1αがLPA産生に関与する可能性が考えられた。現在、PLD活性化(PLD1、PLD2)や、直接LPAで刺激することに伴い細胞レベルで引き起こされる現象に注目し、本酵素が産生するLPAの関与を検討している。ところで、培養細胞は、細胞外に存在するLPAを分解するLPAホスファターゼ活性を持つ。この活性が本酵素の産生するLPAに与える影響は大きいと考えた。そこで、このLPA分解活性の阻害剤について検討し、各細胞株について最適条件を決定した。この条件下で、発現阻害、PLD活性化によるLPAレベルの変化についても検討を行っている。 また、マウスPA-PLA1のノックアウトマウス作成は、単離したマウスPA-PLA1ゲノムDNAからターゲッティングベクターの作成、ES細胞の樹立を終え、キメラマウスを作成している段階である。 PA-PLA1αの相同性分子、PA-PLA1βについて性状解析も行った。Sf9細胞に過剰発現させた結果、PA-PLA1αと同様に細胞膜に発現し、外来的にPLDを作用させたところ、PA-PLA1αと同様に細胞上清中に速やかにLPAが産生された。このことから、PA-PLA1βも細胞膜上に生じたPAに作用しLPAを産生する酵素であることが明らかとなった。PA-PLA1αは比較的幅広い発現分布を示すのに対して、PA-PLA1βは精巣特異的な発現を示している。
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Research Products
(1 results)