2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01J06550
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Research Institution | The High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
豊田 晃久 高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | 超微細構造 / 中間子 / 水素同位体 |
Research Abstract |
今回我々は、前年に得られた、ミュオン水素の超微細構造および共鳴分子生成の固体中での異常性についての結果を論文にまとめてPhysical Review Lettersに投稿し、受理された。また、その実験の延長である、液体中での超微細遷移の様子をミュオン触媒核融合現象によって探る実験の準備を進めている。実験が行われる予定であるカナダのTRIUMF研究所における収量およびS/Nの評価を、GEANTなどのシミュレーションによって評価しつつある。また、標的量が多いため、効率のよいオルソパラ変換装置を開発し、不純物を取り除くためのクライオトラップを製作するなど、実験装置の整備も整いつつある。 実験テーマである超微細構造は、プローブ粒子(ミュオン)のスピンと物質(水素)のスピンの相互作用で生じるものである。ここで、昨年来行っている「弱い相互作用」しか起こさないスピン1/2のミュオンを使った実験に対して、「強い相互作用」も起こしながらも同じスピン1/2を持つΛ粒子を使って物質との相互作用を研究する実験は、お互い相補的で極めて興味深い。このΛ粒子を用いる実験として、イタリアのLNF研究所における、物質中にΛ粒子を止めてハイパー核と呼ばれる粒子を生成し、その性質をかつてないほどの高精度で測定するfinuda実験のビームタイムに参加し、各種検出器の較正や、データ収集、データ解析などを行った。また、このデータを用いてKppppnnなどのK中間子の深い束縛状態を探索することが出来るかどうかをモンテカルロシミュレーションで評価しつつある。これらのデーダによって、電弱相互作用しか起こさないことによって精密な議論が出来るミュオン、それに加えて強い相互作用の情報を得られるK中間子、Λ粒子という3つのプローブを用いた、物質との相互作用の研究に大きな進展をもたらすことが期待される。
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Research Products
(1 results)