2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01J06590
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Research Institution | The High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
梅津 裕志 高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | 重力理論 / 共形場理論 / ドジッター時空 / スピン・フォーム模型 |
Research Abstract |
正の宇宙定数を持つ場合の三次元量子重力の研究を行った。三次元重力はチャーン・サイモンゲージ理論で記述され得るので、量子論的解析が可能である。我々は無限の過去において時空がドジッター時空になると言う境界条件の下で、まず三次元重力理論の運動方程式の一般解を求めた。この一般解の空間にはヴィラソロ代数が作用する。次に幾何学的量子化の方法を用いてこの空間の量子化を行なった。この理論のヒルベルト空間は実数の中心電荷を持ったヴィラソロ代数のユニタリー表現として得られた。ユニタリー性と真空の安定性から時空の持ち得る質量と角運動量は制限されることを明らかにした。また、この三次元量子重力理論と二次元共形場理論であるリュービル理論との対応について研究した。古典論的にはこれらの理論の解空間の間の対応を示し、量子論的には状態空間の間の関係を明らかにした。 量子重力理論を構成的に定義する一つの方法であるスピン・フォーム模型について研究を行なった。スピン・フォーム模型は格子模型や行列模型と密接な関係を持っていると思われるので、これによって一般座標変換不変性を持つ離散的な模型を構成したい。我々はまず、ゲージ理論及び物質場と相互作用する重力理論を構成するために、スピン・フォーム模型において次元還元を行なう方法を調べた。また、この模型は拘束条件を課された連続な時空上の位相的場の理論を離散化した理論と解釈できるので、連続理論の面からも同様の解析を行なった。この理論の形式的な構造を理解することはできたが、力学的構造を明らかにすることはこれからの課題である。
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Research Products
(1 results)