2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01J06601
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
金敷 大之 関西大学, 文学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 行為事象記憶 / 被験者実演課題(SPTs) / 行為実演効果 / 言語情報と運動情報との統合 / 実演における自分自身への気づき |
Research Abstract |
本年度上半期においては,行為事象およぴ被験者実演課題(SPTs)の記憶に関する文献展望を行った。文献展望において,SPTsの記憶メカニズムを説明するための以下の仮説を生成した。SPTsの符号化においては,まず行為文の言語的構成要素の処理によって,意味的概念的表象,およびそれに基づいて長期記憶から呼び出された抽象的な実演のプランとが統合される。次に,その抽象的なプランに基づいて実演が行われ,抽象的なプランを規準にしてモニター,制御が行われる。さらに,モニター,制御された抽象的なプランに基づいて運動構成要素の処理が行われ,意味的概念的表象と統合される。このとき,SPTsの実演においては,実演するごとに行われる運動が異なっている。SPTsの符号化においては,1回の実演における運動構成要素の処理が,みずからの実演に対する気づきを喚起し,SPTsの統合過程に重要な役割を果たしている。以上の仮説は,心理学評論45巻2号『行為事象および被験者実演課題の記憶』において公表された。 本年度下半期においては,生成された仮説の妥当性を検証するために,新たな研究方法の開発,および予備的研究が行われた。これは,再生テストにおいて,実演した項目に対する被験者の反応と,項目の反復および推論に基づく被験者の反応とを分離して指標とする試みである。予備的研究には,被験者として大学生,高齢者が参加しており,現在も継続中である。この途中経過は来年度の日本心理学会,および日本教育心理学会にて発表予定である。
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Research Products
(2 results)