2003 Fiscal Year Annual Research Report
中国宋代における消費物資の生産・流通・消費及び社会生活
Project/Area Number |
01J06608
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
塩 卓悟 関西大学, 文学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 太平広記 / 婦人 / 女性史 / 小説史料 / 社会生活 / 食生活 |
Research Abstract |
今まで継続してきた『太平広記』「婦人」(巻270〜273)の訳注を一冊の本としてまとめる作業を共同執筆者である河村晃太郎氏と行うかたわら、『太平広記』の成立背景を論じた論文「宋太宗の文化事業-『太平広記』を中心に-」を『比較文化史研究』5号に公刊した。また従来の『太平広記』の訳注原稿を見直し、大幅に加筆・修正を加えた。それと同時に、『太平広記』の成立背景とその後世への影響・内容・諸版本・「婦人」の部の内容検討を解説した解題を作成した。 如上の作業のほか、現在、校正(初校済)作業を実施し、あわせて索引作成にとりかかっているところであり、それらの成果は『訳注 太平広記 婦人部』として、本年5〜6月頃に汲古書院より刊行される予定である。本書の刊行により、唐・五代以前の小説史料の集大成ともいえる『太平広記』が、中国史、中国文学の研究者のみならず、日本文学・女性史研究者達にもより利用されるようになるものと思われる。 同書の執筆作業が非常に繁雑であるため、唐宋の食生活に関する研究は遅れがちであるが、すでに『太平広記』および『夷堅志』その他の諸史料からの肉食に関するデータ抽出作業はほぼ完了した。これらのデータおよび従来の諸研究を検討しつつ、今後、羊肉と豚肉の地位が唐宋間においていかなる変容をとげたのか、また牛肉・狗肉といった当時タブー視されていた肉食に対する意識、また肉食に関する応報記事から看取される階層観などの諸問題を考察する予定である。現在・羊肉・豚肉の地域・階層・時代差に関する論考を執筆中である。
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Research Products
(2 results)