2002 Fiscal Year Annual Research Report
遠隔対話の認知と協働―対話,ならびに人と人工物の相互作用に関する心理学的研究―
Project/Area Number |
01J06675
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
南部 美砂子 法政大学, 社会学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 認知的人工物 / 遠隔通信対話 / 共通基盤 / 協働 / 対話の場 / パーソナルビュー / 高齢者 / 注意 |
Research Abstract |
1.ながら電話実験:携帯電話の普及による"ながら電話"の問題に焦点を当て,対話者の注意状態が遠隔通信対話に及ぼす影響について,大学生24ペアによる対話実験を行った.その結果,注意分割(ながら)課題はペアの一方のみに与えられたにもかかわらず,対話過程および記憶成績はペア全体で大きく変化することが明らかになった.電話対話における"対話の場"の認識は,電話という人工物との相互作用だけでなく,それを使用する状況や物理的な環境との相互作用によっても変化しうることから,これらを含めた対話環境のデザインが重要であると考えられる.本研究は,2003年認知科学会第20回大会にて発表予定である. 2.音声フィードバック実験:対話型情報機器としてATMを取り上げ,高齢者と機器の対話における音声フィードバックの効果について検討を行った.大学生24名,高齢者24名によるATM操作実験の結果,高齢者では特に音声中心の相互作用を可能にするデザインの評価が高かったが,その一方で視覚的な情報への注意低下が生じることが明らかになった.認知的人工物における視覚情報と音声情報の組み合わせが,ユーザの注意と密接に関係していると考えられる.本研究は,操作行動の分析結果も含め来年度中に学会発表する予定である. 3.ニュース映像視聴実験:高齢者の注意に焦点を当て,映像視聴におけるテロップ(文字情報)の効果について検討を行った.大学生16名,高齢者16名によるニュース映像視聴実験の結果,高齢者では特に文字(テロップ)の提示が音声+映像の処理に干渉し,記憶成績ならびに確信度を低下させることが明らかになった.本研究は,2003年認知心理学会にて発表予定である. 4.在宅高齢者ケアシステムに関するインタビュー調査:緊急通報システム・見守りシステムを取り上げ,これらが高齢者とその家族やヘルパー,地域社会とのコミュニケーションをどのように形成しているかについて調査を行った.本研究は,来年度中に学術雑誌(認知科学)に投稿の予定である.
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 南部美砂子, 原田悦子: "ビデオ対話における相互作用過程の分析 -対象指示コミュニケーション課題による検討-"心理学研究. 73・3. 219-226 (2002)
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[Publications] 南部美砂子: "メディア心理学入門"坂元昴(監修)・高橋秀明・山本博樹(編著),学文杜. 251 (2002)
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[Publications] 南部美砂子, 原田悦子: "人工物をめぐる認知科学(仮)"原田悦子(編著),共立出版 (未定). (2003)