2002 Fiscal Year Annual Research Report
LUNAR-A・ペネトレータによる月熱流量計測システムの開発
Project/Area Number |
01J06717
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Research Institution | Institute of Space and Astronautical Science |
Principal Investigator |
吉田 信介 宇宙科学研究所, 宇宙科学研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | LUNAR-Aミッション / ペネトレータ / 月熱流量計測 / 熱モデル / 熱設計 |
Research Abstract |
月熱流量計測は月の内部構造に関する重要な情報を与えるものであり、LUNAR-Aミッションの科学的目的の一つである。月面に貫入したペネトレータ自身によって周囲の温度場が乱される効果を数値計算で見積もる必要があるため、月熱流量推定精度はペネトレータの熱モデルの精度に大きく依存する。これまでにペネトレータ各構成要素の熱物性の実測値を元に熱モデルを構築し、実機仕様のペネトレータ(貫入試験モデル)を用いた熱試験により改修してきた。今年度に新たな貫入試験モデルについて貫入前後で同様の試験を実施する予定であったが、ミッションスケジュールの遅れにより来年度に実施する事になっている。この試験の温度計測精度を上げるべく、熱電対のキャリブレーションシステムの高精度化を実施している。ペネトレータの熱モデルはペネトレータフライト時熱制御計算にも使用される。ペネトレータの熱制御は熱制御材(UPILEX-R、Alテープ)実装によるpassive制御と、ヒーター実装によるactive制御の組み合わせで実施される。月熱流量計測精度向上のためにはペネトレータ表面に実装されるものによる熱コンダクタンスの増加が少ない事が望ましいため、Alテープ(50μmの厚さだとコンダクタンスが約30%増加する)の変わりに使用するべくSiO2コーティングAl蒸着ポリイミドテープを新規開発し、光学特性(太陽光吸収係数、輻射率)を実測してデータベース(宇宙環境を模擬した紫外線照射試験、陽子線照射試験前後の光学特性を含む)を製作した。そして、フライト時の各境界条件(打ち上げ、月遷移軌道、月周回軌道、貫入前)に対応し、熱試験によって構築したペネトレータの熱モデルを使用できるプログラムを開発し、貫入時温度が規定温度範囲内でできるだけ月レゴリス温度に近くなる(定常状態に早く近づき、月熱流量計測精度が向上する)熱設計案を作成した。
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