2002 Fiscal Year Annual Research Report
放線菌の形態分化開始に対するグルコース抑制機構の解明
Project/Area Number |
01J06788
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
高野 英晃 日本大学, 大学院・生物資源科学研究科, DC1
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Keywords | Streptomyces / グルコース抑制 / 形態分化 / 二次代謝 / 遺伝制御 / 転写因子 / 信号伝達 |
Research Abstract |
咋年度までに、S. griseusのσ^HをcraA-crtS間のプロモーター領域に結合する蛋白として同定し、当該プロモーター領域を増幅することでおこる形態分化の抑制がσ^-Hのタイトレーションによっている可能性を示した。そこで、S. griseusのσ^Hを大腸菌を用いて発現・精製し、大腸菌由来のRNAポリメラーゼコア酵素との複合体としてゲルシフトアッセイを行ったところ、crtS上流のプロモーター領域への結合が確認された。同様の現象は、S. coelicolor A3(2)において知られる3種のσ^Hパラログについても認められた。また、σ^Hに対する抗σ因子をコードするushXを多コピープラスミド上で導入したところ、S. griseus野生株のグルコース培地上での形態分化が抑制された。以上の結果は、一連のストレス応答性σ因子がグルコース培地に於ける分化の開始に必須の役割を担うことを示峻している。 次に、S. griseusのsigHオペロンの転写解析をS1マッピング法を用いて行った結果、3つの転写開始点(P 1-3)を同定した。P1、P2は分化の時期に著しく転写量が増加し、一方、P3は栄養増殖期に最も高い活性を示した。ushX遺伝子破壊株は高濃度グルコース存在下においても形態分化及びストレプトマイシン生産能を示し、またσ^H依存的であるP1の転写活性は高濃度グルコース存在下では顕著に低下していた。このことから、UshXはグルコース濃度依存的にσ^Hの活性を制御していると考えられた。Two Hybrid Systemおよびin vitro転写実験の結果は、UshXが蛋白-蛋白間相互作用を介してσ^Hの活性を負に制御することを示した。以上のことからUshXはσ^Hに対する抗σ因子であり、形態分化及びストレプトマイシン生産に対するグルコース抑制に関与する制御因子であると考えられる。
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