2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01J06907
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
因幡 和晃 慶應義塾大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | デトネーション / パルスデトネーションエンジン / 煤膜模様 / マッハ反射 / 境界層 / せん断応力 |
Research Abstract |
次世代型航空宇宙エンジンとして期待されるパルスデトネーションエンジン内で発生するデトネーションの有効利用および抑制のため、デトネーションの基本特性に関する研究を行なった。実験および数値解析はアメリカのカリフォルニア工科大学航空工学研究室のJ.E.Shepherd教授に研究指導を委託し、同教授の下で行なった。 デトネーションが伝播する際、三重点(デトネーション波面前面における衝撃波の干渉点)の軌跡ととして煤膜模様を観察する手法は、デトネーション波の特性を考察する上で、過去数多くの研究で用いられてきた。しかしながら、これまでどの様な物理的な機構により、この煤膜模様が形成されるかを明確に示す研究は行なわれておらず、実際に三重点が通過した際生じる軌跡であるかも直接的に示された報告はない。本研究では、これまで提唱されてきた煤膜模様形成に関する諸説(圧力勾配・渦・反応)とは異なり、表面に働くせん断応力により煤膜模様が形成されるという提案を行なった。実験および数値解析を行い、相互に比較することで、新たに提案した説の検証を行なった。 デトネーション波は元来反応と密接に結びついた現象であるが、波面先頭の衝撃波構造に限り、マッハ反射と呼ばれる反応を伴わない衝撃波構造で説明できる。実験では、反応の生じない簡略化した系(空気)においても、マッハ反射により煤膜模様が形成されることを確認した。次に三次元の粘性計算を行い、計算結果から煤膜に働くせん断応力の特定を行い、煤膜模様形成の主要因としてせん断応力の働きが重要であることを示した。これまで煤膜模様から得られる情報は限定されていたが、本研究の結果から、煤膜模様を観察することでより多くのデトネーション波面の特性を得ることが可能となった。
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