2003 Fiscal Year Annual Research Report
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01J06907
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
因幡 和晃 慶應義塾大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | デトネーション / パルスデトネーションエンジン / 煤膜模様 / 層流境界層 / せん断応力 / 数値解析 / 反応流体 / 圧縮性流体 |
Research Abstract |
次世代型航空宇宙エンジンとして期待される炭化水素燃料(エチレン)によるパルス・デトネーション・エンジン(PDE)に関する一次元および二次元軸対称数値解析を行なった。今回計算時間短縮のために用いた簡略化素反応モデルは、スクラム・ジェット・エンジン用に提案されたものであり、炭化水素燃料では数百もの素反応過程が存在することが知られている。そこでデトネーションの数値解析を行うにあたり、簡略化素反応モデルによるデトネーション伝播特性と、平衡計算より求まるデトネーション特性を比較し、再現性の確認を行った。PDEの数値解析により、エンジン内の圧力、温度、および支配的に存在する化学種の挙動を考察し、安全に作動させるための指針を得た。また、理論および実験結果と本数値解析結果を比較することで、PDEの性能評価において良い一致を得た。 古くは100年以上も昔よりデトネーションの観察に用いられてきた煤膜法(煤をデトネーション管内部に付着させて、デトネーション伝播後に生じる模様を観察する手法)において、煤膜模様形成の機構はこれまで謎とされてきた。過去圧力勾配、渦、反応などによる諸説が提案されてきたが、これまで物理的機構が明確に示された報告はない。そこでデトネーション波面に形成されるマッハ反射を、衝撃波管内における衝撃波と楔の干渉により形成し、非反応流(空気)において煤膜模様の形成機構を実験および数値解析により考察した。その結果、境界層により生じるせん断応力の向きと大きさが変化することにより煤膜模様が形成される機構を提唱し、煤膜をモデル化した数値解析を行うことにより、衝撃波が伝播した際の煤膜厚さの変位を特定し、新たに提案した機構の検証を行った。 これらの成果を国内で開催された学会および国際会議(19th ICDERS、Hakone)で発表を行った。
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