2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01J07028
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
青野 友祐 東邦大学, 理学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | メゾスコピック系 / 量子ドット / 近藤効果 / 電子コヒーレンス / 超伝導体 / Josephson電流 / Anderson模型 / Keldysh Green関数 |
Research Abstract |
今年度は以下の二点について研究を行った。 まず磁場中の閉じた量子ドットにおける断熱量子ポンプについて考察した。量子ドットに、ゆっくりと周期的に時間変化する磁場とトンネル接合を与えた場合に、1周期後に系はもとの状態に戻るが、その間に向きスピンと下向きスピンそれぞれ最大で単一電荷が流れることがわかった。この最大値は量子ドット内で自発磁化が発生すると抑制される。上向きスピンと下向きスピンのポンプ電荷は一般に異なり、電荷ポンプとスピンポンプが独立であることがわかった。また両者は磁場の振幅により調整することができ、振幅の選び方により,電荷ポンプなしのスピンポンプが得られる。この系を記述するのにAnderson模型の平均場近似採用し、時間依存を散乱行列法を用いて計算した。 次に、近藤領域にある量子ドットと超伝導電極の接合系の電気伝導について議論した。特に超伝導体がp波の場合を、通常のs波の場合と比較しながら考察した。超伝導-ドット-導体接合系での有限バイアス電圧下の電気伝導--電流・電流ゆらぎ(ショットノイズ)・ファノ因子--を計算した。近藤温度が超伝導ギャップよりも充分大きい場合には、p波とs波の違いはみられないが、近藤温度が小さくなるに従って両者の違いが顕著になる。p波超伝導体では、Mid-gap stateと近藤共鳴状態が強く結合し、s波の場合に比べて、超伝導による近藤効果の抑制が起こりにくくなっていることがわかった。また、超伝導-ドット-超伝導接合でのJosephson電流の位相差と温度依存性について調べた。p波の場合には、s波の場合と異なり絶縁体薄膜接合のJosephson電流特性に類似していることがわかった。この系を記述するのにAnderson模型のSlave Boson平均場理論を採用し、伝導特性をKeldysh Green関数法を用いて解析した。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Tomosuke Aono: "Adiabatic spin pumping through a quantum dot with a single orbital level"Physical Review B. (to appear).
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[Publications] Tomosuke Aono: "Adiabatic electron pumping through a quantum dot with a discrete level"Physical E. (to appear).