2002 Fiscal Year Annual Research Report
低ホスファターゼ症における組織非特異型アルカリホスファターゼの細胞生物学的解析
Project/Area Number |
01J07085
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
入江 真理子 東京大学, 医科学研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | 低ホスファターゼ症 / アルカリホスファターゼ / 組織非特異型アルカリホスファターゼ / 分子シャペロン / Bip / GRP78 |
Research Abstract |
低ホスファターゼ症の患者では、ヒトでは4種類存在するアルカリホスファターゼのアイソフォームのうち、特に組織非特異型アルカリホスファターゼに点突然変異が生じていることが報告されている。申請者はこれまで重症の低ホスファターゼ症患者で報告された変異型酵素に注目し、その解析を進めてきた。細胞が野生型の酵素と変異型の異常酵素を見分ける過程ではタンパク質のフォールディングや会合に預かる分子シャペロンが関与することが報告されている。そこで、Bip/GRP78、カルネキシン、カルレテキュリンなどの分子シャペロンとの結合を野生型酵素と変異型酵素で比較検討を行った。今回、一過性の発現系を用いて、放射性のアミノ酸の存在下で細胞を培養し、標識された細胞を可溶化した後、分子シャペロンに対する特異的な抗体を用いて免疫沈降を行い、SDS-PAGE/Fluorographyで共沈してくるタンパク質の同定を行った.その結果、Bip/GRP78は野生型酵素と変異型酵素の両方に結合することが判明した。当初の予想では、分子シャペロンは野生型酵素とは一時的に結合してから解離するが、変異型酵素に対しては異常タンパク質と認識することから解離せずに結合したままでいることが推測されていた。しかし、今回の一過性の発現系では特定のタンパク質が大量に合成される結果、しばしば分子シャペロン自体の誘導が引き起こされ、野生型酵素と変異型酵素で共に同程度のBip/GRP78との結合が観察された。他の分子シャペロン(カルネキシン、カルレテキュリン)との関与は野生型酵素、変異型酵素ともに検出されなかった。現在、野生型酵素と変異型酵素をそれぞれstableに発現する系を樹立している段階である。今後さらに解析を進めて、細胞側の変異タンパク資に対する品質管理機構について詳しく解析しようと思う。
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