2002 Fiscal Year Annual Research Report
B細胞腫瘍のアポトーシス回避におけるケモカインおよび細胞接着の関与
Project/Area Number |
01J07115
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
塚田 信弘 新潟大学, 大学院・医歯学総合研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | B細胞腫瘍 / アポトーシス / nurselike cell(NLC) / ケモカイン / インテグリン / BAFF / 慢性リンパ性白血病 / 悪性リンパ腫 |
Research Abstract |
我々は、慢性リンパ性白血病(Chronic lymphocytic leukemia ; CLL)の患者末梢血に存在するある種の細胞(nurselike cell ; NLC)が腫瘍性B細胞をin vitroでアポトーシスから保護する役割を有することを報告してきた(Burger JA, Tsukada N, et al, BLOOD 96, 2000)。その後の解析により、このNLCは単球由来の細胞であることを見いだし、更に単球がCLLの腫瘍性B細胞と共存することにより分化しうる特殊な細胞であることを報告した(Tsukada N, et al, BLOOD 99, 2002)。 腫瘍性B細胞とNLCの相互作用にはケモカインのひとつであるSDF-1(Stromal derived factor-1)が関与しており、この相互作用を抗SDF-1抗体によって阻害することにより、B細胞にアポトーシスが誘導される。また、この相互作用には腫瘍性B細胞上に発現する接着分子のひとつであるVLA-4も関与しており、この接着分子の阻害剤によってもB細胞にアポトーシスが誘導される。 BAFF(Blys, TALL-1, THANK, zTNF4, TNFS13B)は1999年に発見されたTNFスーパーファミリーに属する細胞表面分子である。単球やマクロファージなどの骨髄球系細胞に特異的に発現され、B細胞上の受容体との結合により成熟B細胞の増殖や免疫グロブリンの産生増強を促すと報告されている。 我々が報告したNLCは単球系の細胞であるため、このBAFFがNLCに発現するかどうか検討したところ、mRNAおよびproteinレベルでの発現を確認した。また、BAFFそのものはCLL cellをアポトーシスから保護する働きがあることを見出し、2002年のアメリカ血液学会において報告した。 現在、このBAFFがCLLを含むB細胞腫瘍において果たす役割を解析中である。
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Research Products
(1 results)