2002 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロサテライトDNAマーカーによるスギ採種園の花粉動態の把握とその効率的活用
Project/Area Number |
01J07157
|
Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
森口 喜成 新潟大学, 大学院・自然科学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | スギ / 採種園 / マイクロサテライトマーカー / 遺伝子流動 / 育種 |
Research Abstract |
昨年度開発した34マイクロサテライトマーカーおよび森林総研の谷らが開発したマイクロサテライトマーカーから多型性が高い7マーカーを選び、遺伝子流動を解析した。調査採種園はA〜Eの5箇所で、採種園A,B,Cは従来型採種園、D,Eはミニチュア採種園である。従来型採種園は樹高約4m、植栽間隔約4×4m、ミニチュア採種園は樹高約1m、植栽間隔約1×1mと設計様式の違いによる採種園内環境は大きく異なる。また、それぞれの採種園は立地環境、すなわち周辺に存在するスギ林の面積が異なる。本年度は、この立地環境および設計様式の異なるスギ採種園における遺伝子流動の比較を行った。採種園A、Bについては報告済みである。解析は採種園あたり12母樹、1母樹あたり30の種子を対象に行った。すべての採種園おいて用いたマイクロサテライトマーカーの総父性排斥率は0.999と父親を十分に特定できうる値を示した。解析の結果、平均区画外混入率はAで65.8%、Bで35.0%、Cで47.8%、Dで40.8%、Eで50.0%であった。これらの混入率は採種園周辺のスギ林の面積と関係があり、採種園の造成場所の選定が重要であることが示唆された。混入率の違いは採種園のタイプ間では観察されなかった。平均自殖率はAで1.4%、Bで4.4%、Cで2.2%、Dで1.7%、Eで4.4%であった。これらの値は海外の他の針葉樹種とほぼ変わらない。自殖率は、1ラメットあたりの着花量が異なるのでタイプ別に考えなければいけないが、採種園に導入されているクローン数と関係があるのではないかと考えられた。また、園内の構成クローンの父親としての貢献度は、全ての採種園で大きな偏りがあり、貢献度の高い構成木上位3クローンで生産種子全体の約25.1-46.5%を占めた。園内の遺伝子流動は、各クローンの相対的な花粉量や開花フェノロジーの影響をうけると考えられた。
|
Research Products
(1 results)