2003 Fiscal Year Annual Research Report
DNA多型を用いたギンブナの進化と多様化に関する研究
Project/Area Number |
01J07163
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Research Institution | Lake Biwa Museum |
Principal Investigator |
大原 健一 滋賀県立琵琶湖博物館, 研究部, 特別研究員(PD)
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Keywords | マイクロサテライトDNA / ギンブナ / クローン / 遺伝的多様性 / ヨシノボリ / mtDNA / Carassius / Rhinogobius |
Research Abstract |
ギンブナ集団構造を解析するために高感度DNA多型マーカーを用いてクローン構成の解明を試みた。日本の6地点、琵琶湖、高知、鳥取県湖山池、新潟県福島潟、千葉県印旛沼、茨城県霞ヶ浦より採集したギンブナのクローン構成について調査した。ギンブナはすべての地点で複数のクローンからなる混合クローン集団を構成していた。それらの中にそれぞれの地点で特異的なクローンと、2地点以上の地域に認められる共通クローンが存在していた。総クローン数は61系統であり、そのうち14系統が共通クローンであった。共通クローンの多く(13/14)が琵琶湖で確認されたことから、共通クローンは琵琶湖を中心として分布していることが示された。 琵琶湖水系のトウヨシノボリRhinogobius sp.ORとビワヨシノボリRhinogobius sp.BWの遺伝的変異を,D-loop領域を含むミトコンドリアDNAの制限酵素断片長多型(RFLP)法により調査した。ビワヨシノボリは2沿岸域から採集された。両型は同一のハプロタイプを全く共有していなかったことから,RFLP法は両型を区別するめに効果的であることが示唆された。トウヨシノボリのハプロタイプ多様度(0.214-0.543)はビワヨシノボリ(0.543-0.682)よりも低かった。ビワヨシノボリおよびトウヨシノボリにおいて地域間のハプロタイプ頻度に違いは見られなかった。この結果から,トウヨシノボリではこれらの地点間に頻繁な遺伝子流動が存在しており,そして琵琶湖水系のトウヨシノボリは1つの個体群から構成されていることが示唆される。 トウヨシノボリ(R.sp OR)は極めて多くの色彩変異を含んでいるが、それらの遺伝的な関係は不明のままである。トウヨシノボリから13個のマイクロサテライトプライマーを設計した。それらすべてに高い変異性が認められ、2〜17個のalleleが検出された。ヘテロ接合体率は、0.1〜0.9であった。1つを除いて、すべてのマーカー座でHardy-Weinberg equilibriumからの有意なずれは検出されなかった。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Ohara K, T Ariyoshi, E Sumida, N Taniguchi: "Clonal Diversity in the Japanese Silver Crucian Carp, Carassius langsdorfii inferred from Genetic markers"Zoological Science. 20. 797-804 (2003)
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[Publications] Ohara K, N Taniguchi: "Preliminary study on genetic diversity evaluated by eleven microsatellite makers in Kuromejina, Girella leonina and Mejina, G.punctata"Fisheries Science. 69. 861-863 (2003)
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[Publications] Takahashi D, K Ohara: "Genetic variations estimated from PCR-RFLP analysis on the freshwater goby Rhinogobius in Lake Biwa"Ichthyological Research. in press.
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[Publications] Ohara K, D Takahashi, M Takagi: "Isolation of microsatellite loci in the freshwater goby, Rhinogobius sp. (Gobiidae)"Molecular Ecology Notes. in press.