2002 Fiscal Year Annual Research Report
超格子構造を有する固体潤滑膜の形成とトライボロジー特性に関する研究
Project/Area Number |
01J07179
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Research Institution | Nippon Institute of Technology |
Principal Investigator |
関根 幸男 日本工業大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 固体潤滑 / 積層構造 / ナノ周期構造 / スパッタリング / 硬度 / 弾性率 / トライボロジー / 導電性 |
Research Abstract |
超格子構造を有する新しい固体潤滑膜の形成を目的とし、RFスッパタリンク装置を用いて、ナノ(nm)周期の積層構造を有する薄膜を形成した。膜の材料となるターゲットに、層状材料であるC(グラファイト)、BN(窒化ホウ素)、MoS_2(二硫化モリブデン)およびWS_2(二硫化タングステン)、軟質金属であるAg(銀)およびAu(金)を取り上げた。そして、それぞれの単層膜および積層膜を形成し、比較評価した。 1、CとBN膜の(C/BN)n積層膜では、高温環境下における摩擦特性を評価した。常温の25度では、荷重1〜10Nと変化させても摩擦係数μ=0.2付近の値を示した。しかし、温度が上がり200度付近からは、摩擦係数に変化が生じ、荷重とともに摩擦係数が増加する傾向を示した。その中で、積層周期4nmの(C/BN)n積層膜では比較的低い摩擦係数を示した。また、ほとんどのサンプルは下地のSi基板が観測される程損傷しているのに対して、周期4nmの積層膜では下地のSi基板は観測されない結果となった。 2、AgおよびAu膜の(Au/Ag)n積層膜では、導電性評価のため電気抵抗率を評価し積層化による抵抗率変化を評価した。AgおよびAu膜は、摩擦係数μ=0.2以下を示すが摩擦耐久性が無く試験初期から摩擦係数が急増した。それに対して、積層膜では摩擦係数μ=0.1以下を示し、摩擦耐久性も向上する結果が得られた。また、電気抵抗率評価では、単層膜が摩擦させることで摩耗痕の抵抗率が著しく増加するのに対し、積層膜の電気抵抗率は、摩擦後もほとんど変化せず安定した値を示した。この結果、接触電気抵抗の安定性に優れたナノ周期固体潤滑膜が得られた。 3、MoS_2およびWS_2膜の(WS/MoS)n積層膜では、ナノインデンテーションによる硬度評価を行った。その結果、単体膜よりも積層膜の硬さが、どの測定条件においても3倍程度増加する結果が得られた。また、摩擦特性評価では、単層膜の摩擦係数がμ=0.06付近に対して、積層膜ではμ=0.04と低摩擦が得られている。更に、積層化すること摩擦耐久性は6倍程度向上し著しいトライボロジー特性の改善効果が得られることを確認している。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 関根幸男, 三宅正二郎, 渡部修一: "炭素/窒化ホウ素固体潤滑超格子膜の形成とそのトライボロジー特性"日本機械学会論文集. 068・668. 265-270 (2002)
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[Publications] 関根幸男, 三宅正二郎, 渡部修一, 野城淳一: "固体潤滑積層腹の形成とトライボロジー"トライボロジー会議予稿集 2002 春 東京. 197-198 (2002)
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[Publications] 関根幸男, 三宅正二郎, 渡部修一, 野城淳一: "ナノ周期固体潤滑積層膜のトライボロジー"機械学会 2002年度 年次大会講演論文集. 111-112 (2002)
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[Publications] 関根幸男, 三宅正二郎, 渡部修一: "ナノ周期構造を持つ軟質金属を成分とする固体潤滑積層膜のトライボロジー"トライボロジー会議予稿集 2002 秋 仙台. 437-438 (2002)