2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01J07281
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
繁田 信一 神奈川大学, 大学院・歴史民俗資料学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 祖霊 / 怨霊 / 陰陽師 / 竈神 / 祟 / 怨霊の要求 / 卜占 / 王朝貴族 |
Research Abstract |
初期中世あるいは中世成立期として位置付けられる平安時代中期(10世紀中葉〜11世紀中葉)の貴族層の人々(王朝貴族)の霊魂観について、当時の日記を主要な手がかりとしながら、その祖霊観・怨霊観としての側面を考察した。その結果として、王朝貴族の祖霊観および怨霊観が「陰陽師」と呼ばれる職能者の活動と密接な関係にあったことが明らかになった。より具体的な成果は次の通りである。 1 王朝貴族の邸宅には必ず「竈神」と呼ばれる神格が祀られていたが、王朝貴族の認識において、この竈神は家々の祖先の量と一体化していた。王朝貴族にとっての竈神は、家の守り神であるとともに、祖先神でもあったのである。そして、竈神はしばしば人々に崇をもたらす神格であったが、王朝貴族社会において人々を竈神の崇から守る役割を担ったのが陰陽師であった。 2 王朝貴族は、怨霊が人々に病気をもたらすことがあるという認識を持っていた。怨霊が原因となった病気を、王朝貴族は「もののけ」あるいは「邪気」などと呼んだが、王朝貴族の認識では、怨霊が人々を苦しめるのは人々に対して何らかの要求を持つ場合であった。そして、王朝貴族社会の陰陽師は、その病気が怨霊によるものであるか否かを判じる役割を担ったのであり、また、病因となった怨霊の要求を明らかにするうえでも一定の役割を果たしたのであった。
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Research Products
(2 results)