Research Abstract |
<研究1:協働筋間の筋形状と筋血液量の関係> 本研究では,静的足底屈運動時の下腿三頭筋の協働的な作用を,筋血液量・筋形状・筋の電気的活動の変化から捉えることを目的とした.被検者は,足関節角度を0°に固定し,30秒間の静的足底屈運動を行った.実験方法と測定パラメータの詳細については,昨年度の報告書と同様である.力発揮レベルが増加すると,腓腹筋内側頭(MG)とヒラメ筋(SOL)の筋血液量はより減少したが,腓腹筋外側(LG)においては,そのような傾向は認められず,むしろ力発揮レベルの増加に伴い,筋血液量の増加傾向がみられた.このように,協働筋それぞれについて筋血液量の変化は異なった.しかし,超音波Bモード法によって測定された筋形状については,いずれに筋においても,力発揮レベルの増加に伴い,筋束長が短縮し,羽状角が増大した.筋束長・羽状角の絶対値は3筋で異なるが,変化の傾向は類似していた.そこで,筋の電気的活動について,筋電図の平均振幅の値をみると,3筋ともに力発揮レベルの増加に伴い,平均振幅値は増加し,3つの協働筋の電気的活動の変化にも,相違はみられなかった.また,筋束の曲率は,SOL,MG,LGの順に大きな値を示し,力発揮レベルの増加に伴って,いずれも増加した.筋形状と筋血液量との関係をみると,筋束長と羽状角はいずれも,MG,SOLについて筋血液量と有意な相関関係が得られ,特に羽状角との相関が高かった.以上の結果から,静的足底屈時には,協働筋である下腿三頭筋は,電気的活動には殆ど差がみられないにも関わらず,筋血液量の変化には,差異が認められた.筋血液量のこのような差異を生み出す一因として,筋形状(筋束長,羽状角,筋束の曲率)が影響を及ぼしているものと考えられた. <研究2:静的膝屈曲時の腓腹筋の筋活動> 本研究では,静的膝関節屈曲を行った時,膝屈曲の協働筋である腓腹筋が収縮することにより,非活動状態であるヒラメ筋の筋血液量はどのように変化するのかを明らかにし,協働筋間での筋活動レベルの差異が筋血液量の変化に及ぼす影響について検討することを目的とした.被検者は,股関節角度100°,膝関節角度45°,足関節角度90°の椅座位となり,5秒間の最大静的膝関節屈曲(KFmax)を行った.その際の足底屈トルク,腓腹筋内側頭とヒラメ筋の筋血液量変化(近赤外線分光洗)と表面筋電図を測定した.さらに同じ関節角度の状態で,最大静的足関節底屈(PFmax)を行い,同様の測定をした.
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