2002 Fiscal Year Annual Research Report
精子形成における新規抗酸化酵素ペルオキシレドキシン4の役割の解明
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01J07321
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
松木 真吾 山形大学, 医学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | レドックス調節 / Prx4 / 酸化的ストレス / 精子形成過程 / 遺伝子破壊 |
Research Abstract |
停留精巣は新生男児に見られる発達異常で、不妊や悪性腫瘍の原因となる。また、高熱や拘束といった各種ストレスが精巣における精子形成傷害をもたらす。熱付加や炎症はいずれも酸化ストレスをも引き起こすが、その際に生じる活性酸素種が精子形成細胞にアポトーシスを起こす直接の原因と考えられる。生体には活性酸素種を除去する様々な防御系が備わっており、抗酸化酵素はその中心的な役割を果たしている。今回研究対象とするPrx4は、新規抗酸化酵素で分泌シグナルを有するため細胞外で働くと考えられる。しかし精巣では分泌シグナルが切断されない前駆体として存在する。この前駆体の出現が精子形成時と一致することや形態学的解析から、精子形成への関与を想定して検討を進めている。 停留精巣モデルマウスにおけるPrx4の発現を調べたところ、モデルマウスでは分泌型の発現量には大きな変動は見られなかったが、前駆体Prx4のみが選択的に消失した。この結果は前駆体型Prx4が精子細胞の形態変化に関わるとする仮説を支持する。精巣は本来、身体の他の部分に比べて数度低い陰嚢内にあり、この低温環境が精子形成に必須である。停留精巣では腹腔にとどまることによって精巣は通常よりも高温条件に曝され、それが原因で精子形成障害が起る。その際の作用因子については明らかにされていないが、本結果から前駆体Prx4のプロセッシングを行う酵素活性の亢進が示唆される。 精子形成細胞の精子への分化は培養系では未だ成功していないため、それに関わる遺伝子の機能解析は非常に遅れている。Prx4の機能についてはまったく未解明であり、精子形成へのかかわりを直接証明するには遺伝子改変マウスの作成が必要である。現在遺伝子改変を目的として、必要なプラスミドコンストラクトの作成を行っている。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Yoshihito Iuchi: "Concerted Chances in the YB2/RYB-a Protein and Protamine 2 mRNA in the Mouse Testis under Heat Stress"Biol.Reprod.. 68・1. 129-135 (2003)
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[Publications] Takashi Kobayashi: "Localization and Physiological Implication of Aldose Reductase and Sorbitol Dehydrogenase in Male Reproductive Systems, Accessory Glands, and Spermatozoa of Rats"J.Androl.. 23・5. 674-683 (2002)
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[Publications] Shingo Matsuki: "Impaired Expression of Peroxiredoxin 4 in Damaged Testes by Artificial Cryptorchidism"Redox Rep.. 7・5. 276-278 (2002)