2003 Fiscal Year Annual Research Report
軌道放射光とレーザーを用いた遠赤外〜近赤外時間分解二光子分光法の開発
Project/Area Number |
01J07349
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
東 純平 佐賀大学, シンクロトロン光応用研究センター, 特別研究員(PD)
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Keywords | 軌動放射光 / レーザー / 時間分解分光 / 二光子分光 / 赤外分光 |
Research Abstract |
レーザーパルスと放射光パルスを同期させるシステムの開発を行った。赤外放射光ビームラインでは可視光を同時に利用できるため、レーザーパルスと放射光パルスを同一の可視光用PMを用いて時間分解検出し、時間遅延をモニターできることが確認された。 このシステムを用いて励起子のボーズアインシュタイン凝縮の存在が強く示唆されるCu_2Oにおいて、励起子内1s-2p遷移の測定を4K以下の低温で行った。レーザー照射による赤外吸収の変化は観測されたが、この吸収変化はレーザーと放射光パルスの時間遅延に依存しないことがわかった。吸収変化とレーザー照射前の赤外吸収スペクトルとの比較から、レーザーの熱の効果によって赤外振動スペクトルが周波数シフトしていることがわかった。 また、光検出器をSiフォトダイオードに変更することで、今までの遠赤外〜近赤外過渡吸収測定と同じ実験配置で可視領域までの過渡吸収測定が可能になった。 レーザーの波長によっては、放射光に比べて非常に強力なレーザーの散乱が赤外検出器に入り検出器が飽和したりS/Nが低下する場合が存在する。両面鏡面研磨のSiウェハーをフィルターとして用いることで10000cm^<-1>以下のエネルギー領域でレーザーの散乱を完全にカットして過渡吸収測定が可能であることが確認された。 単層カーボンナノチューブにおいてレーザーによって誘起される吸収変化が700cm^<-1>に現れることが見いだされた。これは光で生成されたキャリアによる金属的な反射によるものである。金属的な反射の時間変化から生成された光キャリアは非常に長寿命であることが見いだされた。
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Research Products
(1 results)