2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01J07590
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
岩槻 恵子 お茶の水女子大学, 大学院・人間文化研究科, 特別研究員PD
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Keywords | 説明文理解 / 図の効果 / 視覚的表現 / 認知的負荷 / 読解過程 / 発話プロトコル法 / リーディングスパン |
Research Abstract |
1.問題 説明文理解を促進するものとして図を取り上げ,なぜ図が役立っのかを検討する。図は視覚的表現であるため,同じ情報を文章呈示するよりも読みとる際に認知的負荷を軽減するという利点が考えられる。そこで本研究では,(1)読解過程で図の視覚的表現による利点を本当に利用しているのか,(2)本当に認知的負荷を軽減しているのか,を検討し,図が効果を持つ理由を考察した。 2.研究1 (1)目的:読解過程で図の視覚的表現による利点を本当に利用しているのか検討するため,読解過程と問題解決過程を観察し図の利用法を調べた。 (2)方法:説明文を学習する際と学習後の理解課題を行う際に,発話プロトコル法を用いて内観を発話させた。説明文はグラフを付加した条件とグラフの情報を文章化し付加した条件を設け両者を比較した。 (3)結果:読解中にグラフ条件はグラフを利用し文章では読みとりにくい情報を読みとってりる可能性が示された。また問題解決時に,グラフのイメージを思い出しており,視覚的表象が構築される可能性も示された。このように図の利点を利用していることが内的過程の検討により示唆された。 3.研究2 (1)目的:認知的負荷を軽減しているのか,認知資源をリーディングスパンの大きさで測定し,図によって節約されるか検討した。 (2)方法:リーディングスパンの大きい者と小さい者に被験者を分けた。図を付加した説明文の条件あるいは図と同内容が文章化されている条件で学習させ,理解課題を行い,スパンが小さい者が図を与えることによって理解が改善されるか検討した。 (3)結果:スパンの大きい者は十分認知資源があるため,図が無くても理解ができ,図条件と文章条件で差がなかった。しかしスパンの小さい者は文章条件では理解が困難であったが図を付加すると理解が改善される傾向があった。このように,図の利点が認知的負荷を軽減している可能性が示された。
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Research Products
(1 results)