2002 Fiscal Year Annual Research Report
高校教育改革の社会学-能力主義的選択の変容と自己責任原理の導入
Project/Area Number |
01J07595
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
荒川 葉 (田中 葉) お茶の水女子大学, 文教育学部, 特別研究員PD
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Keywords | 高校教育改革 / カリキュラムの多様化 / 夢、興味・関心重視の進路指導 / 夢、興味・関心重視の進路選択 / 冷却・加熱メカニズム / アスピレーション / 高校の選抜・配分機能 / 教育社会学 |
Research Abstract |
本研究の目的は、80年代半ば以降推進されてきた高校の個性化・多様化政策が、高校の選抜・配分機能をいかに修正してきたか解明することにある。具体的には、カリキュラムの特色化が進められる中、普通科-職業科という学科構造を維持してきた高校の教育内容や進路形成機能がいかに変化し、従来の高校間格差構造やそれが果たしてきた選抜・配分機能がどのように変化しているか、(1)教育課程表の分析、(2)教員対象聞き取り調査、(3)教員対象質問紙調査、(4)高校生対象質問紙調査から解明することを試みる。 今年度は下記の作業を実施した。 (1)先行研究の収集と検討 教育政策、若年労働市場、学校から職業へのトランジション、学校の選抜・配分機能に関する国内・外の先行研究を収集・検討し、理論的な枠組みの精緻化を試みた。 (2)教育課程表の分析 昨年度2県30校で実施したカリキュラム分析の補充調査として、新たに1県(大都市圏)38校の教育課程表を入手し、内容分析を行った。 (3)進路指導主任対象質問紙調査の実施 3県の64校を対象に進路指導主任対象の質問紙調査を実施し、各学校がどのような内容・方針の進路指導を行っているか解明を試みた。 (4)進路資料の分析 3県の64校を対象に、生徒の進路先に関する資料の収集調査を行い、学校ランク、学科・コースによって進路実績にいかなる違いがあるか解明することを試みた。 これまでの調査では、個性化・多様化政策は学校ランクに規定される進路形成を是正するものになっておらず、むしろアカデミックな教育を行い大学進学に導く上位校と、興味・関心のままに学ばせる中・下位校にカリキュラム・進路指導が分化する傾向が見られている。平成15年度は上記調査の分析に、昨年度実施した生徒対象質問紙調査の分析も併せ、また高校総覧、学校基本調査高校等の既存統計資料も収集・分析し、高校の選抜・配分機能がいかに変化しているか、論文にまとめることを試みる。
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