2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01J07630
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
伊田 みちる お茶の水女子大学, 大学院・人間文化研究科, 特別研究員DC2
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Keywords | アネキシン / 石灰化 / レクチン / プロテオグリカン / 糖タンパク質 / 骨 / 軟骨 / 軟骨細胞 |
Research Abstract |
アネキシンはリン脂質結合タンパク質ファミリーであり、様々な組織に存在している。近年in vitroでアネキシンがグリコサミノグリカンや硫酸基・シアル酸含有糖タンパク質糖鎖などの酸性複合糖質を認識することが明らかになってきた。アネキシンがin vivoでレクチンとしての機能を発揮するにはそのリガンドもまた重要である。本研究では骨・軟骨に着目し、軟骨石灰化におけるアネキシンおよびそのリガンドの役割を明らかにすることを目的とした。 I 培養細胞におけるアネキシンの性質 ニワトリ胚脛骨由来軟骨細胞、ラット軟骨肉腫細胞RCS-LTCのin vitro石灰化における外来性アネキシンVの影響について、蛍光性カルシウム検出試薬カルセインを用いて石灰化度の半定量的測定を行った。ニワトリ軟骨細胞ではアネキシンV非存在下で著しく石灰化し、アネキシンVによる影響は見られなかったが、RCS-LTCではアネキシンV添加により2倍の増加が見られた。そこで、ウェスタンブロットによりタンパク質発現量を調べたが、ニワトリ軟骨細胞およびRCS-LTCでアネキシンV発現量に大きな差はみられなかったことから、アネキシンVの石灰化促進活性は細胞種に依存している可能性が示唆された。 II 免疫組織化学 ニワトリ脛骨の発達段階に応じたアネキシンVおよびそのリガンドの発現の変化を観察した。コンドロイチナーゼABCにより糖鎖を除去してエピトープを露出させた後、種々抗体およびレクチンを用いて免疫化学染色を行った。アネキシンVは成熟期、肥大期軟骨細胞および細胞外マトリックスに局在していた。ビオチン化GST-アネキシンで染色を行ったところ、12日目胚では成熟期および肥大期軟骨細胞が染色され、14日目、16日目胚では成熟期および肥大期軟骨細胞に加えて一部の骨幹部肥大軟骨細胞外マトリックスおよび内腔膜が強く染色された。よってアネキシンV結合分子が時間・空間特徴的に制御を受けて発現し、アネキシンVと相互作用していることが示唆された。 III 基質小胞アネキシンと複合糖質の相互作用 ニワトリ胚脛骨軟骨細胞およびRCS-LTCから基質小胞の単離・精製を試みた。ラット軟骨肉腫細胞から抗アネキシンV抗体反応性画分を得ることが出来、基質小胞であると考えられたが、微量にしか単離できずその後基質小胞の特性を調べることはできなかった。
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