2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01J07663
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
福島 裕敏 一橋大学, 大学院・社会学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 長期欠席 / 学校組織 |
Research Abstract |
本年度は、1)長期社会経済統計と長期欠席データとの関連性を通じた長期欠席率の変化の考察、2)元漁村地区での学校資料の収集整理および3)地区住民へのインタビューが作業の中心であった。1)については現在5年ごと7年度期分のデータ入力を終え、仮説的な分析作業をおこなっている最中であり、2003年度の秋に報告を予定している。2)については、学校資料の公表の扱いをめぐり調査対象地区と協議中である。また指導要録の記載事項をどのように分析するのか、とりわけ教育評価という視点からどのように分析をおこなうべきか、その方法について理論的検討を深める必要性を感じている。3)については現在継続中である。若年世代の対象者へのアクセスが課題となっている。 一方、実績報告書に記した二つの論文は直接的には「不登校」そのものを対象にしたものではない。「教師たちがつくり出す学校職場」は学校間の組織とそのもとでの教員たちの意識・認識の違いを扱った。そこでは、不登校をはじめとする「問題行動」が教師の教育観や職場の雰囲気さらには教職観といったものと深く関わっていることを指摘した。「トラストの設立-ハックニーの事例」はイギリスにおける教育政策が地域教育行政の組織および内容の性格に及ぼす影響をそれぞれ扱ったものである。そこでは、不登校をはじめとする「問題行動」が学力向上を中心とした教育政策においては周辺的な位置づけを与えられ、「補償教育」的な意味付けを強くもっていることを指摘した。このように、いずれも学校や教育行政の組織のあり方が人々の意識や実践などに及ぼす影響を扱ったものであり、本研究が明らかにしょうとする学校組織による不登校現象の違いを明らかにする上での一助となるものである。
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Research Products
(2 results)