2002 Fiscal Year Annual Research Report
大偏差原理の研究及びその逐次解析,最適停止問題への応用
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01J07683
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
式見 拓仙 長崎大学, 経済学部, 助教授
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Keywords | 大偏差原理 / カーネル型経験分布関数 / ランダム和 / 停止時間 / Cramerの定理 |
Research Abstract |
1.研究課題の内容に沿って,まずカーネル型経験分布関数に対する大偏差原理の証明を行った.この結果は,通常の経験分布関数に対する大偏差原理であるSanovの定理を含むより一般的な定理である.また,その応用として,カーネル型経験分布関数のKolmogorov-Smirnov統計量に関する大偏差確率の不等式を証明した.当該大偏差原理の証明に際して,分布全体からなる空間に弱収束と同等な距離を新たに導入することが重要なポイントとなっている.この距離は特性関数の連続定理を背景に自然に導かれるものである. 2.X_1,X_2,...を平均μ,分散σ^2∈(0,∞)をもつ独立かつ同一分布に従う実確率変数列とし,S_n=X_1+…X_nをその部分和とする.一方,τ(k),k=1,2,...を1,2,...∞に値をとる,X_1,X_2,…に関する停止時間の列とする.S_<τ(k)>/k及びτ(k)/kが大偏差原理を満たす条件を考察し,次の結果を証明した:(1)μ>0,(2)P(|X_1|〓c)=1,(3)τ(k)=inf{n〓1:S_n>ck}ならばS_<τ(k)>/kはI(x)=sup_<t∈R>[tx-logEe^<tS_<τ(1)>>]をrate関数にもつ大偏差原理を満たし,τ(k)/kはJ(x)=sup_<τ∈R>[tx-logEe^<tτ(1)>]をrate関数にもつ大偏差原理を満たす.これらの結果はS_<τ(k)>,τ(k)が独立かつ同一分布に従う適当な確率変数列の和となることを用いて,Cramerの定理の直接的な結果として容易に示すことができる.また,応用として幾つかの具体例を与えた.しかし,上記の結果は更なる一般的な結果を得るための,種々のやや特殊な仮定の下での予備的考察の段階といえるものであり,今後,より有用な形の定式を模索していく必要がある.
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Takuhisa Shikimi: "Large deviations for kernel-type empirical distributions"Statistics & Probability Letters. 59. 23-28 (2002)
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[Publications] 式見 拓仙: "一様有界な確率変数列のランダム和及び停止時間に関する大偏差原理"一橋論叢. 127. 32-44 (2002)