2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01J07872
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
三好 由純 東北大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 放射線帯 / 内部磁気圏 / 宇宙天気 / シミュレーション |
Research Abstract |
研究課題である木星放射線帯粒子の輸送・加速過程の解明の研究において、本年度4月-6月、ならびに9月-12月の期間において、米国ニューハンプシャー大学に赴き、同大学のV.K.Jordanova博士と共同で高エネルギー粒子の輸送、ソース、消失、加速過程を包括的に計算できるコードの開発を行った。 開発されたコードは、熱的エネルギーから相対論的エネルギーにわたる全エネルギー領域の粒子の輸送プロセス、ならびに相互作用過程を計算できるものであり、内部磁気圏全体にわたる粒子の3次元分布関数を導出することができるものである。また、特に粒子の加速過程として近年注目を集めている、高周波プラズマ波動との波動粒子相互作用を自己無撞着に計算するモジュールを設計し、その開発ならびにチューニングを実施した。 開発したシミュレーションコードを用いて、2001年10月に発生した磁気嵐イベントについて、シミュレーションと衛星によって観測された電子のデータとの比較を行い、モデルの評価、ならびに磁気嵐時の粒子環境の変動に関わるシナリオの検討を行った。比較の結果、粒子輸送モードとして考えられる移流・拡散効果のエネルギー依存性が明らかにされるとともに、内部磁気圏の中心領域においては、拡散による粒子輸送効果が支配的な役割を果たしていることが示された。一方、粒子の加速を評価する指標であるエネルギースペクトル、位相空間密度については、実施したシナリオの条件では再現されないことが判明し、粒子の空間的な輸送効果に加えて、その場での非断熱的な加速過程が必要であることが示唆された。 また、このモデルによって計算される3次元分布関数の時間発展は、磁気圏の様々な場所に位置する衛星データと、直接比較可能なものであり、従来の1次元、2次元といった空間的に限定されたモデルに比べて、詳細な議論に耐えることが明らかにされた。さらに、3次元モデルと衛星データとの組み合わせによる「データ同化型」のシミユレーションの可能性についても議論された。 7月に開かれたIUGG総会、9月に開かれたISEC(国際放射線帯ワークショップ)、ならびに12月に開かれたAGU総会において、これらの一連のシミュレーション研究の結果について発表し、諸外国の研究者との意見交換を行った。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Morioka, A., Y.Miyoshi, T.Seki, 他8名: "AKR disappearance during magnetic storms"Journal of Geophysical Research. 108. 3-1-3-9 (2003)
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[Publications] Nose, M., K.Takahashi, T.Uozumi, K.Yumoto, Y.Miyoshi, A.Morioka, 他4名: "Multipoint observations of a Pi2 pulsation on morning side : The September 20,1995 event"Journal of Geophysical Research. 108. 24-1-24-12 (2003)