2002 Fiscal Year Annual Research Report
色素細胞と神経細胞発生機構における相異性と相互作用に関する研究
Project/Area Number |
01J07882
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
矢嶋 伊知朗 東北大学, 大学院・生命科学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 色素細胞 / 眼 / 発生 / 網膜色素上皮 / 神経網膜 / Otx2 / ニワトリ |
Research Abstract |
・網膜色素上皮(RPE)と神経網膜(neural retina)発生におけるOtx2遺伝子の機能解析 発生中のRPE全休およびnerual retinaの一部の細胞で発現するOtx2遺伝子の機能を解析するために、野生型Otx2およびDominant Negative型のOtx2(EnR-Otx2)発現コンストラクトを作成、ニワトリ胚眼胞領域に導入し、その後の発生を観察した。野生型Otx2コンストラクトを導入した胚では、目立った変化は観察されなかった。EnR-Otx2を導入した胚では、RPE細胞は異常な増殖と細胞死が観察され、神経様の細胞の分化が観察された。マーカー遺伝子の発現の有無などを解析した結果、これらの細胞がneural retina細胞へと分化していることが明らかとなった。また、この異所的なneural retina細胞からは、本来のneural retinaでは分化するはずのphotoreceptor細胞の分化が観察されなかった。EnR-Otx2を導入したneural retina細胞でも、異常な増殖と細胞死が観察され、photoreceptor細胞の分化が阻害されていた。以上の結果は、Otx2遺伝子がRPE細胞の分化に必須であり、この遺伝子の非存在下ではneural retinaに分化すること、neural retina細胞から分化する細胞のひとつであるphotoreceptor細胞の分化にはOtx2の機能発現が必要であることが示された。また、野生型Otx2導入によって形態的変化が観察されなかったことから、Otx2遺伝子を発現していないneural retina細胞は、Otx2の機能を阻害する機構が存在し、それによって多種多様な細胞集団を生み出すという機構を構築しているのではないかと推察される。
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