2002 Fiscal Year Annual Research Report
自然科学的評価と整合させた干潟生態系機能の社会経済的評価システムの構築
Project/Area Number |
01J07883
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
坂巻 隆史 東北大学, 大学院・経済学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 干潟 / 有機物 / ベントス / 自然科学モデル / 社会経済モデル / 生態系評価 |
Research Abstract |
本年度の主な検討項目と結果は以下のとおりである。 1.干潟生態系の構造と機能の根幹をなす有機物のフローに着目し、様々な場における有機物動態を比較する調査・実験を実施し、有機物動態モデル化のための解析を行った。 ・異なる底質を有する場における有機物収支を比較したところ、呼吸にともなう系外排除量、底生藻類による有機物生産量、干潟内外の有機物の物理的交換といったフラックスが場によっても大きく異なることが示された。 ・異なるベントス相を有する場の有機物動態の比較を行ったところ、底生藻類およびろ過摂食者による底質への有機物蓄積の抑制効果が示された。これは、浄化機能として高く評価されるべきものである。 ・干潟によってもその浄化や生物の生産・生息といった機能の大きさおよび外部への作用の仕方などが異なり、底質の違いを重要なパラメータと見ることができると考えられた。 2.干潟生態系の有する様々な機能の評価プロセスを、自然科学的および社会経済学的な観点より整理した。 ・評価のプロセスの構成要素としては、持続性の評価、空間の分離、評価軸とスケールの設定が重要と考えられた。このうち持続性、空間分離、および評価軸としての浄化機能、生産生産・生息、および一部のレクリエーション機能に対して有機物フローの自然科学的評価が反映されるべきと考えられた。 ・自然科学的評価の社会経済的評価への変換プロセスとして、既存の顕示選好型評価手法における、干潟の環境要素のパラメータ化について検討を行った。
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[Publications] 坂巻隆史, 西村修, 須藤隆一: "干潟モデル実験装置を用いたベントス相の異なる干潟生態系の有機物動態の比較"環境工学論文集. 39. 209-218 (2002)
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[Publications] 木村賢史, 市村康, 坂巻隆史, 西村修, 稲森悠平, 木幡邦男, 須藤隆一: "人工干潟における水質浄化機能に関する解析"海岸工学論文集. 49. 1306-1310 (2002)
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[Publications] Sitang PILAILAR, Takashi SAKAMAKI, Norihiro IZUMI, Hitoshi TANAKA, Osamu NISHIMURA: "The Characteristics Change of Fine Particulate Organic Matter Due to a Flood in the Nanakita River"水工学論文集. 47(印刷中). (2003)