2003 Fiscal Year Annual Research Report
小型・軽量・省電力な高精度傾斜計の開発と火山噴火予知観測への応用
Project/Area Number |
01J07885
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐藤 峰司 東北大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 火山噴火予知 / 地殻変動 / ワイドレンジ傾斜計 |
Research Abstract |
試作機に採用された気泡式傾斜センサーの温度応答の複雑性を解決するため、建設・土木分野への適用を目的として開発された水平振子式サーボ型の傾斜センサーを新たに採用し、東北大学気仙沼観測点の横坑奥の観測室において温度応答及び最小分解能の試験観測を行った。このセンサーは、小型・軽量・省電力という当初の仕様目標の達成を可能にするだけでなく、従来の計器では成し得なかった最大±90°というワイドレンジと1500Gという高耐衝撃性を有する。傾斜データは白金測温抵抗体による温度データと共に、データロガーにより高感度収録すると同時に、テレメータで送信し東北大学においてリアルタイムモニタした。傾斜センサーの分解能の検定は、観測データに含まれる潮汐成分を理論潮汐や既存傾斜計との比較をすることにより行った。解析の結果、(1)傾斜センサーの潮汐成分は理論潮汐と比較的良い相関を示すこと、(2)傾斜センサーは温度変化に対して線形回帰モデルで補正できること、が判明した。この結果から、今回使用した傾斜センサーが潮汐を検知できることを示し、0.001μradianという高分解能を有することが明らかにされた。 2軸の傾斜測定用のセンサー2台及び白金測温抵抗体と自作の防水防塵容器を用い、野外観測に適した実用機を開発した。この傾斜計は従来の高感度計器にはない高耐衝撃性を有することから、噴火活動時の危険な状況下の火山において航空機投下方式で使用することが可能である。また、測定レンジが広いため設置時に姿勢制御する必要性がないことから、プレート境界型の大地震の予知を目的として近年研究が進められつつある海底地殻変動観測においても大いに活躍することが期待される。
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