2003 Fiscal Year Annual Research Report
LIMキナーゼによるアクチン骨格と微小管構築の制御機構
Project/Area Number |
01J07911
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大橋 恭子 東北大学, 大学院・生命科学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | アクチン細胞骨格 / コフィリン / リン酸化 / 脱リン酸化 |
Research Abstract |
アクチン細胞骨格の制御機構を解明するためには、アクチン脱重合因子のコフィリンの制御機構を解明することが重要である。LIMキナーゼ1 (LIMK1)はコフィリンをリン酸化・不活性化し、一方で新規ホスファターゼのSlingshot (SSH)はLINK1によってリン酸化されコフィリンを脱リン酸化・再活性化する。LIMK1は低分子量G蛋白質RhoとRacの下流でROCK、PAKによってリン酸化されることで活性化されることが既に明らかにされているが、SSHの活性制御機構は明らかにされていない。SSHには3種のファミリー分子(SSH-1L,SSH-2,SSH-3)があることを既に同定していたが、今回SSH-2およびSSH-3のC末が長いクローンを新たに得ることでき、これらをSSH-2L、SSH-3Lとした。新たに同定したC末にはそれぞれSSH-1Lとの相同性はほとんど見られなかったが、SSH-2LはSSH-1Lと同様にC末側でF-アクチンとの結合が見られた。コフィリンに対する脱リン酸化活性はSSH-2LはSSH-1Lと同程度、SSH-3Lは微弱な活性が見られた。ノーザンブロッティング解析により、SSH-1は脳、胸腺、腎臓、心臓、肝臓に、SSH-2は脳、胸腺、心臓、精巣に、SSH-3は脳、腎臓、小腸、精巣に高発現していることが明らかとなった。培養細胞にそれぞれを過剰発現させて細胞染色をしたところ、SSH-1LとSSH-2Lは細胞内F-アクチンと共局在していた。SSH-2LはSSH-1Lと異なりストレスファイバーの端の接着斑にも局在が見られた。SSH-3Lは細胞質と核に拡散していた。以上のことから、SSHファミリー分子はそれぞれコフィリンホスファターゼとして機能するが、その分子の性質には差異があり、機能する場所や役割が異なっていることが考えられた。
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Research Products
(1 results)