2002 Fiscal Year Annual Research Report
単頭プロセッシブ・ミオシンの探索とその運動メカニズムの解明
Project/Area Number |
01J07975
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐々木 直哉 東北大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | モータータンパク質 / 一分子力学計測 / 化学力学共役 / Unconventionl Myosin |
Research Abstract |
単頭プロセッシブミオシンの運動メカニズムを解明するためには、その化学力学共役機構を明らかにする必要があり、そのためには一分子レベルでの力発生を反応速度論的に観測しなければならない。このための手法としてはCaged ATPを用いた実験系が最も有効である。Caged ATPは紫外線によって急速にATPへと分解されるので、顕微鏡下では紫外線照射直後にATP濃度が急峻に上昇する。紫外線照射直後のモータータンパク質の力発生を観測することで、力発生を反応速度論的に議論することが可能となる。 このCaged ATPを用いた実験系を確立するために、双頭ながらプロセッシブに運動することが既知であるミオシンVを用いた。これまでの研究でミオシンVは36nm毎の連続運動をし、そのステップがより小さなサブステップにより構成される可能性が示唆されている。こうしたミオシンVの運動中のステップとATP加水分解サイクルとの共役機構は未だ不明だが、Caged ATPを用いた実験系ではこの関係を明らかにできる。 実験ではヒヨコ脳ミオシンVを直径0.2μmのビーズに結合し、光ピンセットを用いてこのビーズを捕捉した。このビーズをガラス基板上に固定したアクチン繊維に結合させた後、Caged ATP存在下で紫外線を照射したところ、ビーズが運動した。ビーズの中心の位置は斜光照明法で測定し、単一ミオシンV分子の運動を高時間空間分解能で検出した。 その結果、ミオシンVの力発生はATPの結合より遅い速度で起こり、力発生の最初のステップはATPの結合によって起こるものではないと結論した。また、最初のステップは36nmより短いステップが多く、それらの短いステップがサブステップである可能性も示唆された。 今後、単頭プロセッシブミオシンに対して上記実験を用い、運動メカニズムの解明に取り組む予定である。
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Research Products
(1 results)