2002 Fiscal Year Annual Research Report
ダイズ根粒菌のゲノム再編成によるストレス環境適応機構の解明とその利用
Project/Area Number |
01J07988
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
鮫島 玲子 東北大学, 大学院・生命科学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | ダイズ根粒菌 / 脱窒 / 亜酸化窒素 |
Research Abstract |
本研究ではBradyrhizobium属ダイズ根粒菌の嫌気ストレスへの適応能力として脱窒に着目し、その分子基盤や生理学的特徴を明らかにし、得られた知見をもとに窒素固定効率・環境改良の点で有効な接種資材を開発することを目的としている。平成14年度の研究成果は以下の通りである。 ゲノム情報より明らかとなったB. japonicum USDA110の脱窒関連遺伝子をプローブとし、属内分布と脱窒活性の関係を調べたところ、B. japonicumではnapA、nirK、norCBの相同配列が存在していても酵素活性を示さない株があり、それらはすべて多数の挿入配列を有するHRS株だった。また、B. elkanii.では使用したプローブでは相同配列はほとんど検出されなかったが、硝酸還元酵素活性を示す株があった。一方nosZの有無はすべての株で活性と対応していた。 nosZを保有するダイズ根粒菌B. japonicumは、嫌気条件下で脱窒の中間体であるN_2Oを呼吸することにより増殖が可能だった。nosZ破壊株を作成したところ、増殖能がなくなったことからN_2O呼吸による増殖はnosZに依存していることが明らかとなった。ダイズ根粒菌B. japonicumのN_2O呼吸による増殖は、低濃度の硝酸や亜硝酸で促進された。 また、B. japonicumUSDA110を接種したダイズの根粒は外部から投与した1%N_2Oを約2μmol/hの速度で吸収した。nosZ破壊株ではこの能力を失うことから、根粒のN_2O吸収能は根粒菌のnosZに依存していることが明らかとなった。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Sameshima, R. et al.: "Phylogeny and distribution of extra-slow-growing Bradyrhizobium japonicum harboring high copy numbers of RS-alpha, RS-beta, and IS1631"FEMS Microbiol.Ecol.. (in press). (2003)