2002 Fiscal Year Annual Research Report
偏性嫌気性細菌由来のリジン脱炭酸酵素の高次構造及び活性発現調節機構の解明
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01J08017
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
高塚 由美子 東北大学, 大学院・農学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | Selenomonas ruminantium / リジン脱炭酸酵素 / オルニチン脱炭酸酵素 / 分解制御因子 / ATP依存性プロテアーゼ / アンチザイム / リボソームタンパク質 |
Research Abstract |
グラム陰性の偏性嫌気性細菌Selenomonas ruminantiumのペプチドグリカンに共有結合したポリアミンの一種、カダベリンは、細胞分裂に必須の構成成分である。本菌のカダベリンを合成するリジン脱炭酸酵素(LDC)はオルニチンも認識し、一次構造はオルニチンに特異的な真核生物のオルニチン脱炭酸酵素(ODC)と高い相同性を持つ。一方で、本酵素は生育の定常期初期に急激に分解される厳密な発現調節を受けている。本研究は、本酵素の構造と基質認識機構との相関の分子レベルでの解明、および分解制御機構の解明を目的にしており、今年度は以下の成果を得た。 1.昨年度までに確立した本酵素のin vitro分解活性測定系を用い、本菌の細胞質画分にLDCの分解に関与するATP要求性プロテアーゼの存在を証明した。また、本プロテアーゼが、活性にMgイオンおよびジチオスレイトールを要求すること、セリンプロテアーゼ阻害剤であるPMSFにより阻害を受けることを明らかにした。 2.本菌の細胞質画分中に、LDCと親和性を持つ22-kDaおよび25-kDaのタンパク質が存在することを見出した。このうち22-kDaタンパク質は、ポリアミンの一種であるプトレシンの培地への添加により誘導され、LDCの分解を促進する分解促進因子であることを解明した。動物細胞ODCの分解制御因子であるアンチザイムとの関連性が示唆された。 3.分解促進因子22-kDaタンパク質の遺伝子および周辺領域を含む8.5kbpをクローン化して解析した結果、Clostridiumのリボソームタンパク質L10と高い相同性を有することが判明した。 なお、1および2の成果はBiosci. Biotechnol. Biochem.に速報として発表し、2002年「B. B. B.論文賞」を受賞した。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Yoshihiro Yamaguchi, Yumiko Takatsuka, Yoshiyuki Kamio: "Identification of a 22-kDa protein required for the degradation of Selenomonas ruminantium lysine decarboxylase by ATP-dependent protease"Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry. 66(6). 1431-1434 (2002)
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[Publications] 小野寺良次監修 板橋久雄編: "新ルーメンの世界"社団法人 農山漁村文化協会(2003年4月発行予定).