2003 Fiscal Year Annual Research Report
ブドウ球菌の二成分性毒素γヘモリジンにおけるヘテロヘプタマー膜孔複合体の形成機構
Project/Area Number |
01J08019
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
冨田 典子 (菅原 典子) 東北大学, 大学院・農学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 黄色ブドウ球菌γヘモリジン / 二成分性溶血毒素 / リング状毒素複合体 / 膜孔 / ヘテロヘプタマー / GST融合Hlg1 / GST融合Hlg2 / ゴールドラベル |
Research Abstract |
黄色ブドウ球菌γヘモリジンはHlg1(34kDa)とHlg2(32kDa)から成る二成分性溶血毒素である。我々は、γヘモリジンの二成分がヒト赤血球膜上で内径約3nm、外径約9nmのリング状毒素複合体を形成し、この毒素複合体が実効内径約2nmの膜孔として作動し、溶血を引き起こすことを明らかとした。高精細なネガティブ電子顕微鏡像および生化学的な解析結果から、膜孔複合体はヘテロヘプタマーであり、二成分はモル比3:4および4:3で交互に配列していると推定された。本研究では、膜孔複合体中の分子配列を可視化するために、nanogoldでラベルしたグルタチオンSトランスフェラーゼ(GST)を融合させたGST融合Hlg1(またはGST融合Hlg2)とwild typeのHlg2(またはwild typeのHlg1)から成る膜孔複合体を赤血球膜上で形成させ、電子顕微鏡で観察することとした。現在、GST分子内の4個のシステイン残基のうち3個をアラニンに置換し、GST1分子につき1個のGoldでラベルしたGST分子を作成中である。また本毒素複合体は2成分を3:4、4:3で含むために、X線結晶構造解析による3次構造の解明は困難であると予測されるため、電子顕微鏡によるリング状構造体の3次構造の解明を試みた。その結果、複合体は直径約3nmの細長いモノマー分子が平行に並び、複合体の高さ約10nm、横幅約9nmの構造をしていることが判明した。様々な角度から撮影した電子顕微鏡像から、γヘモリジンの腹孔複合体は黄色ブドウ球菌の1成分性溶血毒素αヘモリジンに近似した立体構造を有することが推定された。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Ito, Y.: "Cloning, expression, and cell-surface localization of Paenibacillus sp.W-61 xylanase 5, a multidomain xylanase."Appl.Environ.Microbiol.. 69・12. 6969-6978 (2003)