2002 Fiscal Year Annual Research Report
市民活動支援施策形成過程の分析――社会運動論の視角から――
Project/Area Number |
01J08091
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
本郷 正武 東北大学, 大学院・文学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | フレーミング / HIV / AIDS / セルフヘルプ・グループ / 市民活動 / NPO / 社会運動論 |
Research Abstract |
社会運動論における主要分析概念「フレーミングframing」に依拠しながら、障害児を持つ親の会(釧路市)の調査、HIV/AIDS関連の市民活動団体(仙台市、サンフランシスコなど)の参与観察、愛知県・名古屋市、三重県の市民活動支援施策の事後評価について調査をおこない、市民活動団体と行政との協働・連携の諸相を分析した。 まず、フレーミングに関しては、近接の社会心理学や調査方法論と関連させながら、個々人の運動参加におけるアイデンティティ形成とコミットメントの深化、および組織変動について分析する視角を構築した。 障害児を持つ親の会の調査では、主に母親のセルフ・エスティームを回復させる「セルフヘルプ・グループ」としての側面をもった会が、行政との連携などを通じて、一部の活動の事業化とNPO法人化を可能にしたプロセスを考察した。 HIV/AIDS関連の市民活動団体の調査では、HIV/AIDSの語り方に焦点を当て、近年の性行為感染の増加傾向に基づき、性感染症(Sexually Transmitted Infection)や性教育の観点から、保健所などの行政や教育機関との協働の方途を探る市民活動団体の様相を分析した。 愛知県・名古屋市と三重県の追調査では、協働事業の推進により、市民活動団体の組織基盤の強化と行政組織の改革が促進される側面があることが確認できた。 以上の考察から、市民活動団体固有の独自性と「専門性」を確立して、はじめて行政など他セクターとの協働・連携が可能となり、双方にとってメリットがでてくることが明らかとなった。
|
Research Products
(1 results)