2002 Fiscal Year Annual Research Report
沿岸植生を考慮した津波減災効果の評価と利用に関する研究
Project/Area Number |
01J08288
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
原田 賢治 東北大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 防潮林 / 樹林密度 / 津波数値シミュレーション / Morison式 / 植生抵抗係数モデル / 防潮林の津波減災効果 |
Research Abstract |
本研究では,沿岸でのマングローブ林・防潮林の津波減災に関する定量的な効果を評価することを目的とし,土地利用計画の中で現地において適用できる津波減災効果評価手法を提案することを目的としている.本年度は,資料に残された防潮林による被害軽減機能と効果の解析,実際の防潮林諸元の解析,実スケール防潮林の津波減衰効果の検討を行ったので,以下にその実績を報告する. まず,資料に残された防潮林による被害軽減機能と効果の解析について,過去の津波被害報告書や関連文献を整理することで,津波防災に役立つと考えられる項目をあげた.この解析より明らかになった点として,防潮林が津波に対して抵抗として働き津波自体を低減させる効果以外にも漂流物の抑止機能や人命救助の重要な機能を持つことがわかった. 次に,実際の防潮林諸元について,現地調査結果と参考文献より樹林密度と胸高直径の関係について整理した.この結果,実際の防潮林の樹林密度は胸高直径の12倍以上の樹木中心間距離があることがわかった.これより,幹は独立した円柱として扱うことができることを示した.また,胸高直径と樹林密度には強い相関があることより,標準的な防潮林条件として10,30,50本/100m^2の樹幹直径がそれぞれ0.3,0.15,0.10mであることを示した. さらに,現地防潮林条件に基づいていくつかの防潮林を設定し,防潮林を抵抗として取り込んだ津波シミュレーションにより,実スケールにおける津波減衰効果について定量的に評価・検討を行った.その結果,浸水深だけでなく流速,水流圧力についても防潮林の幅および樹林密度の増加によりそれぞれ変化率が低下して行き,減衰効果が大きくなることを示すことができた.これにより,防潮林による津波減衰効果を定量的に評価することが可能になった.
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 原田賢治: "実スケール防潮林の数値計算による津波減衰効果の検討"平成14年度 土木学会東北支部技術研究発表会講演概要. (印刷中). (2003)
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[Publications] Kenji HARADA: "Study on the evaluation of tsunami reducing by coastal control forest actual conditions"Proceedings of Asian and Pacific Coastal 2003. (印刷中). (2003)