2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01J08362
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
池田 晴雄 東北大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ニュートリノ |
Research Abstract |
本年度は、2002年1月から始まったカムランド実験のデータ収集および解析を行った。 まず検出器の特性を調べるためにさまざまな放射線源(Ge,Zn,Co,Am/Be,Hg)を用いたキャリブレーションを行い、液体シンチレーター発光量のエネルギー特性や場所依存性の測定を行なった。レーザーを用いたキャリブレーションも行い、光電子増倍管の出力や信号発信のタイミングの測定を行なった。これらの結果を元にして検出器の補正ファクターを決定し、実際の解析に用いた。また、高圧電源の交換などの検出器のアップグレードも行った。これによってデータ収集が以前にもまして安定に行われるようになった。 物理解析としては、原子炉起源反電子型ニュートリノイベントの解析を行った。カムランド実験では遅延同時計数法という手段で反電子型ニュートリノを検出する。これはニュートリノ検出を容易にするとともにバックグラウンドイベントがほとんどないという利点をもっている。この結果原子炉で発生したニュートリノの検出数が予測値よりも少ないというニュートリノ欠損現象を観測することができた。さらに実験期間が長くなったおかげで、原子炉の運転状況とニュートリノ検出数を比較することが可能となり、データの信頼性がますますたかまった。 これとは別に、原子炉で発生するニュートリノのエネルギーよりも高エネルギー領域の解析も同時に行った。目的は太陽で発生したニュートリノが、太陽内を飛行中に太陽磁場の影響を受けて反ニュートリノに変化する現象の検証のためだったのだが、これに関しては1イベントも観測されなかった。このことにより、ニュートリノがもちうる磁気モメントに新たな制限を加えることができた。
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Research Products
(1 results)