2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01J08391
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐々木 健雄 東北大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | クロモプロテイン / エンジイン / マクロライド / ビラジカル |
Research Abstract |
抗腫瘍性抗生物質C-1027は、9員環エンジイン構造を基本骨格とする化学的に不安定なクロモフォアと、それを包接し、安定化する分子量約1万のアポタンパク質よりなるクロモプロテイン系化合物の1つである。このクロモフォアの9員環エンジインコア部が正宗-Bergman反応により芳香環化し、発生したビラジカルがDNAから水素を引き抜き、二重鎖を切断する事により強力な抗腫瘍活性を発現すると考えられているが詳細は不明である。そこで、クロモフォアの各種官能基の果たす役割を認識し、天然物を越えるハイブリッドな化合物を構築するために、まず全合成を目指すことにした。 前年度までに得た情報をもとに、アリールエーテル結合を形成し、数段階を経てマクロライド基質を合成した。MNBA (2-methl-6-nitro benzoicacid)を用いるマクロラクトン化法が、約1体1のアトロプ異性体混合物であるものの収率良く16員環アンサマクロライドが得られることが分かった。マクロライドが得られたので、さらに数段階を経て9員環化基質のアルデヒドに誘導した。セリウムアミドによるアルデヒドへの分子内アセチリド付加反応による9員環ジイン構築法により、初めてマクロライドを持つ基質での9員環化反応に成功し、C-1027クロモフォアのアグリコン骨格の構築に成功した。 続いて全合成に向けて残された課題は、保護基の選択的除去、トリエンジイン骨格の効率的構築法である。まず、これらの反応を調べるために種々のモデル実験を行った。まずMe_2BBrを用いることで分子内にある2つのMOM基のうち、アリル位のMOM基の選択的除去に成功した。また分子内にある2つのTES基のうち、4位のTES基はTBAFを用いることで選択的に除去でき、それに伴うエポキシドの構築に成功した。続いて分子内にあるシクロペンタジエン部の構築は、得られたアリルアルコールへのセレノ基の付加、続く酸化脱離反応により収率良く構築できた。現在エポキシドの脱酸素反応を鍵反応としたトリエンジイン骨格の構築を検討中である。
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