2002 Fiscal Year Annual Research Report
有機ラジカルを配位子にもつ金属錯体磁性超分子の構築
Project/Area Number |
01J08398
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
山本 将史 東北大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 有機ラジカル / 磁性超分子 / 金属錯体 |
Research Abstract |
高スピン状態を基底状態に持つ分子は、磁気異方性などのいくつかの条件を満たすと超常磁性を示す。このような分子は比較的低い磁場で磁気飽和を示し、相転移を伴わずに粒子内のスピンがすべて揃うため単分子磁石と呼ばれる。微小磁性体である単分子磁石は、バルク強磁性体では起こりえないメゾスコピック系特有の量子スピントンネル現象など新しい物性を示し、クラスター分子自身が磁石として働くため磁気メモリーや量子コンピューター等の分子素子としてその将来が期待される物質群である。私は、このような性質をもつ高スピン錯体分子の合成をターゲットとして、主に有機ラジカルを配位子にもつ金属錯体合成をおこなった。合成した錯体は、X線構造解析により構造を決定し、極低温までの詳細な磁化率測定により金属錯体の磁気的性質を明らかにした。合成した錯体の多くは、常磁性化学種間に反強磁性的相互作用が働く基底低スピン錯体分子であったが、いくつかの錯体分子は直交した金属イオンと有機ラジカルの磁気的軌道による強磁性的相互作用のため高スピン状態を基底状態に持つことが明らかになった。
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Research Products
(1 results)