2002 Fiscal Year Annual Research Report
血液脳関門におけるバルプロ酸排出輸送の分子機構と遺伝多型
Project/Area Number |
01J08409
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
森 しのぶ 東北大学, 大学院・薬学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 血液脳関門 / 輸送担体 / 細胞膜輸送 / 有機アニオン / 神経伝達物質代謝物 / 薬物輸送 |
Research Abstract |
血液脳関門を介したバルプロ酸の排出輸送機構を解明する上で、バルプロ酸と同様の有機アニオン性化合物及び脳移行性の低い薬物の血液脳関門における排出輸送過程を解析することは重要である。そこで本研究では、ドパミンの代謝物で血液脳脊髄液関門においてバルプロ酸がその輸送を阻害することが報告されているホモバニリン酸(HVA)と脳移行性が低い抗白血病治療薬である6-mercaptopurine(6-MP)に着目し、これら化合物の血液脳関門を介した脳からの排出輸送機構を解明することを目的とした。 In vivo brain efflux index(BEI)法を用いた解析から、[^3H]HVA及び[^<14>C]6-MPは共に脳から排出され、排出半減期はそれぞれ43分、47分であった。さらにHVA及び6-MPの血液脳関門を介した排出輸送は、rat organic anion transporter3(rOAT3)の特異的阻害剤であるbenzylpenicillinによって共に有意に阻害された。従って、これら化合物のBBBを介した排出輸送過程には一部rOAT3が関与していることが明らかになった。そこでrOAT3発現系を用いてHVA及び6-MPの輸送特性を詳細に解析したところ、HVA及び6-MPはrOAT3の基質となり、その親和性を示すKm値はそれぞれ274μM、125μMであることが示された。さらにバルプロ酸を1mM共存させた条件では、rOAT3を介したHVAの取り込みは約60%、6-MPの取り込みは約77%阻害された。また抗rOAT3抗体を用いた免疫科学的手法により、rOAT3が血液脳関門を構成する脳毛細血管内皮細胞の脳側膜に主として局在していることを明らかにした。 以上より、rOAT3は内因性有機アニオン化合物・外因性薬物を幅広く認識し、BBBにおいてバルプロ酸をはじめとする多くの薬物の脳移行性に重要な役割を果たしている可能性が示唆された。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] S Mori et al.: "Rat organic anion transporter 3 (rOAT3)is responsible for brain-to-blood efflux of homovanillic acid at the abluminal membrane of brain capillary endothelial cells"J Cereb Blood Flow Metab. (In press). (2003)
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[Publications] T Deguchi et al.: "Major role of organic anion transporter 3 in the transport of indoxyl sulfate in the kidney"Kidney Int. 61. 1760-1768 (2002)