2002 Fiscal Year Annual Research Report
大学生の進路発達過程-SCCTモデルの検証と進路相談への適用について-
Project/Area Number |
01J08504
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
安達 智子 早稲田大学, 教育学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 進路発達 / 社会・認知的進路理論 / 自己効力感 / 結果期待 / 職業興味 / 大学生 |
Research Abstract |
本年度は、わが国の社会・文化的背景を考慮したうえでLent, Brown & HacketによるSCCTモデル(社会・認知的進路理論)に修正を加え、我が国の大学生に対する適用可能性について検討した。これまでの我が国における学校教育制度のもとでは体系的な職業指導が行われておらず、小中高を通じて進路指導は上の学校にすすむための進学指導に比重がおかれてきた。したがって職業世界への準備段階にあたる大学生においても、職業に対する理解の程度は十分とはいえない場合が多い。そうした場合、職業への興味・関心が内発されるプロセスには、当該の仕事領域に対する効力感のほかに、そうした活動へ従事することで何が得られるかという結果期待の作用が働くことが予測される。このような進路発達プロセスにおける結果期待の効用性について検証することが本年度の主目的となった。 まず、国内外の文献から未入職者の仕事に対する態度や意識について知見を収集した(この際に購入したスキャナーは予算申請時より低い価格で購入されたため、予算品目は設備・備品費から消耗品費へ移動)。文献的研究から得られた知見をもとにSCCTモデルを我が国の若年者層に適したかたちに修正し、日本の大学生を対象とした質問紙調査を実施(この際のデータ入力は研究者本人が行ったため謝金の予算は消耗品費に流用)。ここで得られた予備的結果を7月から10月にかけて国内外の学会にて発表した。予備的調査の結果をもとに、質問紙の尺度や項目の構成を精緻化し、本調査の質問紙を作成・実施した。効力感、結果期待、そして職業興味の関連性について構成した因果モデルをもとに構造方程式モデリングの手法をもちいてモデルの適合度を評価したところ、SCCTモデルにおける認知変数間の関連性は小修正をくわえたうえで我が国の対象者に適用可能なことが示された(ここで得られた成果の一部は、「教育心理学研究」に投稿、審査中である)。 平成15年度は、自己効力感と結果期待の規定要因について検討すること、ならびに個人の進路意識が発達するプロセスに作用する背景要因からの影響について調査・分析をすすめていく予定である。
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Research Products
(1 results)