2002 Fiscal Year Annual Research Report
現代社会における家族の多様化とケアの社会化に関する実証的研究
Project/Area Number |
01J08546
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
木戸 功 早稲田大学, 人間科学部, 特別研究員(PD)
|
Keywords | 家族介護者 / 在宅介護 / セルフヘルプグループ / 介護の社会化 / 家族支援 / 経験の共有化 / エスノメソドロジー / 社会構築主義 |
Research Abstract |
本格的な調査および情報収集活動期間として臨んだ本年度は、家族介護者に対するセルフヘルプ的な支援の一貫として行われている、社会福祉法人A主催の「家族介護者の会」(仮名)における参与観察を行うとともに、参加者への個別の聴き取りを継続して行った。介護者のセルフヘルプ的支援については、以前に行った予備的な調査研究のデータを個別的経験の共有化という観点から分析した論文を発表した。 また、8月にほぼ一月にわたって、見習い相談員的な資格において、社会福祉法人Aによる支援事業に同行する機会をえた。これによって現代社会における家族支援のあり方に関して、ひとつの知見をえることができた。加えて、同市区町村内の社会福祉法人Bによる在宅介護支援事業においても、ソーシャルワーカー、民生委員などから構成されるミーティングに参加し、当該地域の高齢者および家族のニーズについて検討した。 これらのフィールドにおいてえられた情報については、関係機関の業務や関係者のプライバシーに対して慎重な配慮が求められるものであり、本研究への情報の活用のあり方については、関係機関と交渉中である。 理論的な関心としては、近代家族論のより経験的な適用のあり方を検討するとともに、具体的にはエスノメソドロジー的な視角からの家族関係への接近について考察し、論文として発表した(近刊)。また、本研究における重要な先行研究として位置づけられる、Jaber Gubrium教授の社会構築主義的研究について継続して検討を行い、2月に来日した教授の老年学のワークショップおよび家族研究のレクチャーに参加するとともに、インフォーマルな意見交換も行った。 本研究の基本的認識であるケアの社会化と現代家族の変容というテーマについては、社会構築主義の立場から問題化し論文として投稿した(現在審査中)。
|
Research Products
(4 results)
-
[Publications] 木戸功: "近代家族論の経験的応用をめぐって"家族研究年報. 27. 30-36 (2002)
-
[Publications] 木戸功: "介護経験の共有化:グループインタビューの含意について"ヒューマン サイエンス. 15・1. 2-12 (2003)
-
[Publications] 木戸功, 松木洋人: "ふつうに家族であることを成し遂げる:家族生活の組織化と成員カテゴリー分析"社会学年誌. 44. 15-31 (2003)
-
[Publications] 木戸功, 圓岡偉男著: "社会学的まなざし"新泉社. 221 (2002)